コンテストに落ちたので、肉体改造することにした話

穂実田 凪

お高いジム編

👑コンテストに落ちたのなら、ジムに通えばいいじゃない

【2019年8月11日(日)】


 出していた小説がコンテストに落ちた。まあ、よくある話だ。

 でも、思っていたよりもずっとショックを受けていた。

 これまで何度かカクヨム内のコンテストに応募して、割と良いところまでいったことはあるが、今回はもっと自信があった。コンテストのテーマにぴったり合った内容だと思っていた。

 でも、駄目だった。一次選考すら通らなかった。


 落ちたものは仕方ない。気を取り直すために、何をすればいいかを考える。

 答えはすぐに出た。


 飯を食え。


 空腹では悪いことばかり考えがちだから、まずはしっかりと食べなければ。

 そうして僕は日高屋でラーメン・餃子・チャーハンの3点セットをむさぼるようにかき込んだ。勢いで単品から揚げも追加してやった。


 けれど、胃は満たされても、心は満たされない。


 いい年して結婚もせず、そこまで仕事に打ち込んでいるわけでもない。

 趣味とはいえ、そこそこ自信が付き始めてきた小説はこんな結果だ。

 いったい自分は何を目的に生きているのだろう。


 普段なら考えないようなことを考えてしまう。

 自分に自信がなくなっていた。



 ――ある日、友人が何気なく言った。


「穂実田さん、太ったんじゃない……?」


 え? まあ、ラーメン三日連続くらいで食べちゃってたしな……。 


「夏休み帰省しないなら、ジム行けば?」


 ジムねえ。会社の福利厚生で会員になったけど、数ヶ月で通わなくなっちゃったんだよな。


「どうせなら、食事指導もしてくれる高いところとかいいんじゃない?」


 友人が何気なく発したその言葉が、心に突き刺さった。


 それは……いいかもしれない。

 コンテストに落ちたのなら、せめて身体だけでもキッチリするべきではないか。

 妙な論理展開が頭のなかで巡っていた。


 家の近くで通えるところを探してみたところ、隣の駅に良さげなジムがあった。

 結果にコミットするアレではないけれど、それに似たような感じのところ。

 金額を見てみると、ライ〇ップよりは少し安い。(とはいえ入会金を合わせると20万円以上の出費になる。)


 僕はすぐに説明会の予約をした。

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