拷問少年
白鷺人和
第1話
拷問というのは、ただ殺すより残酷なことだ。基本的に捕虜などに行われ、殺さずに情報を引き出すためありとあらゆる苦痛を生きながら与える。
だが戦争中の特に泥沼化した物では誰かがしなければいけない仕事でもある。
これはそんな拷問官を任された僕が少しづつ壊れていく物語。
戦火が都内に及び、周りの人にも緊張感が出てきた頃、僕はいつもどおり学校に通っていた。
教室につき、授業の準備をしていると、木本が話しかけてきた。
「聞いたか?学校に軍人が来てるらしいぜ」
木本は小学生からの付き合いで、顔はイケメンなのだが、恋愛に興味が無く、女子の誘いを断って友達と遊びに行くようなやつだ。まぁ逆にそれが良いと言う人もいるらしいが。
「でも徴兵って高校生からだろ?何しに来たんだろうな」
「この前来たときは心構え的なの話して帰ってったし、今回もそんな感じじゃ無い?」
木本と僕は一応この学校で一番頭が良いクラスに入っている。現在の日本には徴兵を免除してもらえる学校があり、木本も僕もそれ狙いで日々勉強している。
すると、先生がいつもより勢い良くドアを開け、すごい顔で入ってきた。
「えー、今回!軍の方がお前らに話があるということで、わざわざ来てもらっている。それではどうぞ!」
すると軍服を着た人が堂々とした素振りで入ってきた。襟に有る星が多いところを見ると、
結構偉い人みたいだな。
「私は陸軍大佐の加藤健太だ、早速だがお前らは戦争が長期化している事は知っているな?」
何をしにきたんだろう?徴兵は流石にないと思うが、
「実は戦争が長引いたせいで、軍も人手不足になっていてな。そこで、この中の一人にある重大な役目を受け持ってもらいたい。安心してほしいのは、戦争に実際に出兵するとかではない」
出兵じゃなくても、きつい仕事である事は変わらないんだろうな。どんな仕事だろうと戦争に関する仕事にろくなものはない。
「取り敢えず志願者は名乗りあげてくれ」
クラス内は沈黙に包まれた。そりゃそうだどう考えてもキツそうな仕事を喜んでする奴なんていない。
「志願者は無しか……じゃあしょうがないから、この中から一人選ぼう」
すると軍人が歩き出し、一人一人の顔を見て回りだした。クラス内の皆に緊張感がはしる。
そんな時、軍人の動きが、何故か木本のところで止まった。木本の表情は凍りつき、身動きが取れなくなっている。
すると、偽善なのか本心なのか分からないが僕の体は自然と動いた。
「僕やります!」
クラス内の全員の視線が僕の方へと向けられた。
「そうか!じゃあ後で地図を渡すから、渡された地図に書かれた地点に明日向かってくれ」
軍人が退出してもクラス内は静かだった。
そんな中、木本だけが動き出し、僕の方へと向かってきた。
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