理解と貯蔵

まぁ、今回も淡々と着飾ったつもりの愚痴さ。

理解、それは大方の人類にとって一番の欲求対象であり。

最も難しい行為の一つだ。

或いは最も簡単かも知れない。

ただハイと頷き、そうですねと共感し、答えを見て問題を解く。

そんな人類は大方の方だろう。

私は、それが苦手だった。

ハイと言ってイイエの行動をし、そうですねとそうなんですかを同じく言う。

答えを見ても忘れ、答えだけを見て書く問題を間違える。

そんな人間だ。

どうしょうもなく逸脱し、逃れ、そうして責務を放棄した。

友も、憂う母も、達成への感謝も、努力と偽りしていない理解を見せかけるのが嫌だった。

今となってはその時の自分すら理解出来ない。

過去の自分が、未来の行動が、他者からの善意も、悪意も。

全くの共感なく、一切の行動なく。

理解する前に理解していると騙っていた。

そうして溜まったツケがこの頃になって自分にまとわりついていた。

理解したくなかった現実と、とうとう逃れなれぬ所まで進んでしまった。

言葉が理解出来ない、流行は追いつけない、逃れられる体力もない。

昼と夜を勘違いする程に廃れきった自分が、どうしょうもなく。

理解出来ない。

こんな筈じゃなかったと、私は栄光を掴むのだと。

のほほんと太陽の元に暮らす、自分自身が許せない。

だが、進んだ。

のほほんと後悔と懺悔の果てに。

未だ追いつけない、未だ知りもしない。

何処かに生きる者が光る、ここにいる自分は霞む場所に。

数字の羅列は考えの及ばない規則を守って、自分を拒絶する様に変わっていく。

それでも、聞いた。

されども、尋ねた。

なんども、わからなかった。

今もなお、理解は騙っているだけかも知れない。

余談だ、ここより下の、この話。

本当は理解出来ないと騙ったのはアイツだった。

私が尋ねた時、彼は「私もわからない」と言った。

それは本当だろう。

だが、私よりも早く、私よりも私に判り易く。

まるで８９＋７２を聞かれた程度の早さで答えを提示した。

そんなには早くないか？　まぁいい。泣けてくるだろう？

自分より格下で、自分よりものほほんとして。

俺より背小せぇのに態度デカくて。

そのくせいっつも器は小せえ男なのよ、今日も君ってだけで起こりやがった。

何度も注意しようが御構い無しの癖に、一丁前に少しはきく。

心底嫌いになりてぇ奴が、俺の前で俺を超えやがった。

前々からだってのは理解したくねぇ。

そんでもアイツはしっかりなんだか馬鹿らしいんだか励ましてきやがる。

やれ一年分だのやれ最初からやれだの。

バカかっつーの、お前は「わからねぇ」っつたんだぞ。

なのになんで先に解いてこっちを励ます。

俺を理解しねぇバカ親父め、生き返りやがれ。