強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛旦那様になりました(番外編)
蝶野ともえ
プロローグ
プロローグ
清々しい春空を見つめ、千春は緊張した気持ちを落ち着けようとした。
今日はずっと準備をし、夢に見ていた憧れの日。
千春の頭には思い出のティアラ、そして首元にはキラキラ光る「one sin」の桜のネックレス。
純白のプリンセスラインのドレス。胸元は綺麗な花の刺繍があり、後ろの裾はとても長く動く度に華やかに揺らいだ。
綺麗にメイクされた顔を何度も鏡でチェックをしていると、ずっと待っていた彼が部屋へと来てくれたようだった。
コンコンとドアがノックされ、千春が「はい。」と返事をすると、秋文が入ってきた。
白いタキシードを着た秋文が入ってくると、千春は秋文に恋をし始めた頃のように、大きく胸が高鳴った。
今でも大好きな彼。だけれど、こんなにドキドキしたのはきっと初めてのようだった。
付き合ってから数年が経つのに、彼はいつでも千春にときめきをくれるのだ。
千春が見惚れてしまっていると、秋文はゆっくりと近づいていきて、千春の目の前で少し恥ずかしそうにしながら見つめきてくれた。
「………定番の言葉は言わないって決めたけど、この場に立つとそれが1番なんだってわかった。」
「秋文?」
「綺麗だ。俺の花嫁が、きっと誰よりも綺麗で可憐だ。」
いつもならば、そんな恥ずかしい言葉を言わない彼なのに。千春は驚きながらと、嬉しさと恥ずかしさと、幸福感で泣きそうになってしまった。
「おい、泣くなって。化粧落ちるだろ。」
「だって、我慢できないよ。嬉しすぎる……。」
「じゃあ、どうせ化粧直しするならいいよな……俺も我慢できないし。」
「えっ………んんっっー!」
彼の言葉の意味を理解する前に、千春は彼から熱いキスを与えられる。
千春は彼からの熱を感じながら、そのキスを止めることなく、秋文からの愛しさを求めた。
「………おまえ、普通はキスを止める所だろ。」
「だって、私も秋文とキスしたくなったんだもん。秋文の白のタキシードがかっこよすぎて、すごくドキドキしちゃった。着てくれてありがとう。」
白いタキシードは千春の憧れだった。
けれど、秋文は白は嫌だと言って始めは全く着てくれなかった。
けれど、千春が「お色直しのドレスは秋文が決めていいから。」と言うと、すぐにお願いを聞いてくれたのだ。
それで、千春は少しだけ後悔することになったけれど……。
「まぁ、俺は何でも似合うからな。」
「現役モデル様ですもんね。」
クスクスと笑い合いながら、また軽くキスをして、結婚式のスタートを心待ちにする。
「いよいよ始まるね。」
「おまえが楽しめれば、俺は嬉しいんだ。」
「うん。楽しもうね。」
千春と秋文は、優しく抱き締め合い、お互いの体温と鼓動を感じ合いながら、幸せな日がスタートするのを今か今かと待ちわびていた。
結婚式の会場は大きな所ではなかったけれど、親戚や親しい友人たちを招いて盛大に行われた。
誓いのキスでは、耳元で「やっと俺だけのものだ。」と囁かれ、そのままみんなの前で熱いキスをされてしまい会場がどよめいたり、秋文が選んだ体のラインがくっきりと出る、淡い水色のマーメードドレスを少し恥ずかしくなりながらお色直しで着たり。
家族やたくさんの友達に祝福されて、千春と秋文は沢山笑い、沢山感動し、そして夫婦になったのだと実感できる日となった。
そして、千春は晴れて「一色 千春」になったのだ。
千春と秋文は、2人で歩んでいく日々を幸せで輝くものにしたいと誓い合ったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます