本気の旅

よつる

第1話 捲土重来

 枠の中に囚われた人間は、檻の中の動物のように肩苦しい生活しかできない。檻にいる生き物たちは狭い部屋の中で暮らし同じ時間に飯が出てくる。食べたい時に好きな量を食べれるわけじゃない。でも、それは裏を返せば毎度絶えることなく一定の量をちゃんと提供されるされるということなのだ。おまけに長生きできるよう体調管理までしてくれる。

 人間でいえばこの枠というのは学校に当てはまる。

 この場合は社会に出ても生活できるよう枠で訓練を受けてから、檻の外に放たれ戦っていくわけだ。

 しかし動物の場合は外の世界で生活している途中で捕らえられ、檻の中で命が狙われることが無い安全な状態で最期を終えることができる。例外として園内で生まれた赤ちゃんは別だが。

 言ってしまえば、人と動物の生き方は反対である。

 先に枠で暮らす人間とのちの動物。

 動物は捕まらず檻に入らないで、この世を去る可能性もあるが、ある程度生きたら動物園暮らしの方が楽だと思う。逃げ切れなかったと考えるなら自業自得みたいなところもあるしな。

 一方、人間は学校という小さい枠の中で育ち一定の期間が経てば自動的に世の中に繰り出さなければなくなる。けれど枠から出た少し前まで学生だった人々は、いきなり範囲の大きくなった世界に困惑し、やがて付いていけなくなるケースが多く存在する。適応できる者もたくさんいるが、その中にも辛さや苦しさでいつ壊れてもおかしくない中、生きている人たちもいっぱいいるのが現状。

 それなら、人生の最初は枠に囚われず色々なことを経験するためにもっと自由に日々を過ごせばいいと思う。そこで得られたものが、やがて社会に出たときに適応できる要素になるかもしれないから。


「旅してみたいなぁ」




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