第4話 メラ
秋生まれのあたしは秋のたんびに流転する。一度死んで、もう一度生まれる。毎年秋が来るたんびにそれを繰り返してる。今年ももうそこら中から夏の終わりの匂いが漂っているから、あたしは例年どおり次のあたしのための誕生日プレゼントの用意をしなくちゃならない。誰も祝ってくれないことに慣れてしまったからそうするしかないのだ。そりゃあ、ごねれば祝ってくれるお友達なんかも何人かはいるでしょうけども。でも毎年一人で勝手に死んで生まれてを繰り返しているのだから、祝ってくれる人がいないのは当然のことだと思うのよ。
あたしは美容室の、まつエクのサロンの、そしてマッサージとボトックスの予約をする。もちろん他にもプレゼントは万万千千。肌触りの良いタオルに深い色のディオールのアイシャドウ、ローズカットのダイヤモンドが並んだ指輪は薬指にはめる予定であとはランジェリーブランドが出してる過剰装飾傾向のキャミワンピなどなど。こちらは背中が思いっきり開いてる。新しい髪型は、はて、どうしようか。
秋にはいつも何か新しいことをしてみたくなる。外国では新学期だからかしら。ずっと渋っていたバレエの体験レッスンに行くのもいいかもね。今年は死ぬのをやめてみるのもおもしろいかもしれないわね。なあんて、考えてみたりもして。ね。
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