マジックミラー
勝利だギューちゃん
第1話
人間、自分が死んだ時、
「あなたは、あなたに生まれてきて幸せでしたか?」
そう訊かれると思う。
その時に、迷うことなく
「YES]と、答えられる生き方をしたい。
だが、今そう訊かれた時、疑問符が付く。
あらゆる生物には、死は避けられない。
それは、神があらゆる生物に与えた、唯一の平等なものだ・・・
100まで生きて、後悔して死ぬよりも。
40でも、満足して逝きたいものだ・・・
でも、これが難しい・・
課題かもしれない。
「ねえ、元気?」
いつもの声がする。
空耳ではない。
僕の、心に話しかけてくる。
若い女の子であるのには、間違いない。
僕が生み出したものなのか?
それとも、形として存在しているものなのか?
「相変わらず悩んでいるみたいだね」
「まあな」
いつ以来だろう?
突然やってきては、突然消える・・・
「でも、少しは進んでいるみたいだね」
「わかるのか?」
「私はあなた。あなたは私。いつでも、見てるよ」
「どういう事?」
「私はあなたが作り出した、理想像。
あなたがこうありたいという、姿」
「見えないけどね・・・それに、僕は男だ。
女には、憧れるが、なりがくない」
「フフフ」
悪戯っぽく笑う。
「あなたは、こういう女の子に好かれたいというのが、あるでしょ?」
「ああ」
「それが、私。あなたは、私に近づくために、頑張っている」
「それだけじゃないけどね」
「どういう?」
僕の頭では、理解出来ない。
「私とあなたは隣に入る。でも、その間には垣根がある。
でもそれは、マジックミラー」
「マジックミラー?」
「あなたから、私は見えない。あなたが見えるのは、自分の姿」
「君から見えるのは?」
「あなたの姿。私の姿は見えない」
彼女は、自分の姿を見る事はないのか・・・
「心配しなくても、平気」
「なぜ?」
「あなたが、自分に生まれてきた事を、心から誇る事が出来たら・・・」
「できたら?」
「私は、現れる。それまでは、このままでね・・・」
彼女は消える。
いつもの会話だ・・・
いつになるかわからない。
死は、ある日突然やってくる。
なので、100%でなくてもいい。
自分に誇れる生き方をしたい。
今、隣にいる彼女のためにも
マジックミラー 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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