第3話 インターハイの結果

 美結ともう1人のマネージャー和葉カズハは急いで部員達にタオルと飲み物を渡した。



「福島ありがとうな。声聞こえたよ」



 湊は美結からタオルと飲み物を受け取った。


 湊の額からは汗が流れ落ちていた。



「よかった……。この調子で頑張ってください!」



 美結が笑顔を見せれると湊も笑みを浮かべる。


 休憩が終わり、試合が再開する。


 部員の1人が相手チームからボールを奪う。



「湊!」



 部員にパスされたボールを受け取った湊。

 ボールはそのままゴールへ。


 スリーポイントだ。


 会場からは歓声が上がった。


 湊に引っ張られるように部員達も点を入れていく。


 先程まで開いていた点は縮まり、その差は2点。


 ──バタン。



 突然大きな音がし、振り向いた湊。


裕介ユウスケ!」



 湊は駆け寄り声を荒らげた。


 そこには──1人の男子生徒が倒れていた。


 どうやら、相手チームの1人とぶつかった弾みで倒れてしまったようだ。



「大丈夫か?」



 裕介はコーチに支えられ立ち上がる。



「痛っ……」

「足痛めたか」



 裕介はそのまま救護室へと連れて行かれた。



「裕介……」



 湊と特に仲の良かったチームメイト。


 悲しげに呟く湊の瞳には先程までの輝きが消えてしまっていた。


 それでも試合は続けなければならない。


 試合が再開するも思うようにいかず。


 先程、2点まで差を縮めたはずが10点も差が開いてしまった。


 ハーフタイムで10分休憩を挟みどうにか点を入れることができた湊達。



 ──そして、インターバル。



 2分間休憩をし最後のクォーターに備える。


 点差は3点まで縮められた。


 相手チーム、湊達共に点を入れていく。


 ホイッスルが鳴り試合終了だ。


「書島高校と読海高校の試合は74-73で書島高校の勝ちです」

「両校、礼! 解散してください」



 審判の言葉を聞き、頭を下げる両チーム。

 湊達は涙ぐみながら頭を上げた。



 ***



「福島、帰るよ」

「は、はい!」


 数日後──


 最後まで残っていた美結に湊は声をかけた。


 インターハイで負けてしまった為、湊達3年生は引退だ。


 今日は3年生との部活、最終日だった。



「あんなに応援してくれたのに負けちゃってごめん」



 昇降口を出ると湊が口を開いた。



「……負けちゃったのは残念ですけど、先輩達が頑張ってきたのはみんな分かってますよ」

「ありがとう」

「裕介先輩は大丈夫そうですか?」



 美結は湊を見上げ小首を傾げる。



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