交点ガール

朝夜 寝太郎

第1話

高校生という最も儚く深いはずの時間は私にとっては最も浅く軽薄ななものだった


高校三年生、大した感動も成長も無いまま女の人生の黄金期である高校二年生はそよ風でも吹き抜けるかのように過ぎ去った。

残るのはストレスのみが莫大な時期、受験期そこに突入してしまった。と言っても、私はそれほどいい大学に進学しようという意思も特にないのでそれほど苦ではないはずなのだが、頭のおよろしい学校に入学してしまったがために周りの空気に押しつぶされ流され結構ギスギスするんだろうなーともの思いに耽っている。あっ、あの雲、人の顔に見えなくもない。元よりそれほど勉強ができないという訳では無いはずなのだが、私の成績は校内で下から数えて………うん、まあ、下位10パーセント程としておこう。。いや、だがしかしこれに関して私は何も悪くないと思う。弁解させて頂くと、周りの頭がイカレれていらっしゃるのだ。カフェイン、カフェインと中毒気味に机に這いつくばるものや、年に100万近くかかるお塾様に通っている方々、何時遊んでんの?、何時寝てんの?、何時風呂はいってんの?、えっ、入ってない、あーはは、そか。……というやつがざらにいるのだ。そのせいなのか、うちの高校では7割型の人が普通の一般人である私のようなやつが目がころっと抜け落ちるほど驚くような大学に進学するやつがざらにいる。えっ、このくらい普通じゃないっすか?と少し煽りを混ぜながら得意気に語っていたあの出っ歯の眼鏡はいつか矯正してやると心に誓ったのを今でも忘れない。そして、残りの2割程の人達もそこそこのいい大学に進学する。問題なのは余ったというか、まるで隔離でもされているかのような残りの1割がた、まあ、わたしたちな訳なんだけれども。この間近所のおばさん、まあ他の人達も同じだけれど在学高校を答えただけで爆発2秒前のセ〇かよと言わんばかりに目を見開き息を止める。そして2秒、3秒と少し間が空いてから人々は仏のように優しい笑みを浮かべ私の目ををみて話をする。私はバレないようにポケットの中で中指を立てる。

そう、私達は傍から見るに勉強が出来、真面目な人に見える容貌ではなかった、それに加え実際問題、昔は置いておいて何を隠そう私は今すこぶる頭がわる……いや勉強ができないのだ。

そう、私はこの2年間一切勉強をしてこなかった!と胸を張ってみた所で胸はすくので直ぐにベンチの上に正座して座った。缶ビール片隅にこうして空を眺めながら回想に耽っているとなんだか、なんだかいい女の気分に浸れて気持ちよかった。そう、私は酔っていた酒と自分にな!……

近くで公園の掃除をしていたホームレスのおじいさんが今までに見たことのない優しい目でこちらを見ていた。

まあ、そう、そもそも本当に高校に入学さえ出来ればいいと思っていた。入学式にもう二度と勉強はしないと神社すら行ったこともないけど神様に勝手に契る程には勉強をしたくないという強烈な欲求があった。そして、私はそれに……従った!まあ、そんな私みたいな奴とか、色々あって疲れた奴とか、自暴自棄になっていた奴とか、親のコネで入ったやつとかがこの1割に含まれている。ちなみに最後のやつはいつか殺す。

まあ、おっ、なんかヤンキーがホームレスからかってる。うわっ、暴力はダメでしょ。まいっか。

まあ、そんな奴ばかりがいるので学校側からも腫れ物扱いされていて、移動教室やテストはほとんどこの面子が一緒になる。変に授業に支障をきたすぐらいならお邪魔虫は1箇所に集めてしまおうという考えだろう。うん、実に合理的だ。だが、隔離したはいいものの授業が行われていたのは始めの方だけで、途中からどの先生も来なくなった。授業を聞く人なんてほとんどいない、みんな寝てるか、話してるか、携帯見てる。というか半分位は学校に来てすらいない。最初は熱血ぶっていた先生も2週間後にはお前達は社会のゴミクズだやらなんやらヒステリック気味になって叫び散らかしていた。勉強できないくせにやたらと地頭が良く、悪知恵が働く奴らが多い、そいつらが以前からよく思っていなかったその先生を退職に追い込んでからは後任の先生を含め教師達は全員黒板に自習と書いた後は1分もしないうちに教室を出ていくというのが日常になった。そのせいか、生徒達はますます調子に乗り横暴に自由になっていった。まあ、正直そっちの方が楽だし、楽しいし私としてはオールオッケーだけどね。

まあ、んで、あっ、すげー、ホームレスに絡んでたヤンキーをホームレス集団が囲ってボッコボッコにしてる。うわぁー、なんまいだー、南無阿弥陀ー。面倒事に関わるのはやっぱめんどいんで、ずらかりまーす。

あっ…………。猫かわいい。






※猫はこれでもかと言うほど毛を逆なでて威嚇した。



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