少女怪奇
武田修一
よん
私は生まれつき他の人とは違うものが見えている、らしい。
らしい、というのは私からすれば普通に見えているものであり、触ることができるものであり、そこに確かに存在していると思っているからである。そう言うと怒られるので、黙っていることにして、極力、その、私にしか見えない存在については触れないようにしたかったのだが、あまりにも人とそれ以外の区別がつかないので、為す術もない(ぐちゃぐちゃになったものであるとか分かりやすいものに関しては元々スルーしている)。なので、私は誰かがいる場所では喋らないようにし、人を無視するようにした。
そうすると、あれよあれよという間に「変人」というレッテルを貼られて、空気のように扱われるように。当然のことだった。私だって理由を知らなければ、自分自身でなければ、きっと周りと同じ事をしただろう。そういうことだ。
それでも私に関わろうとしてくるものはいて、いるのだけど、それは悲しくも人ではなくて、幽霊でもなくて、妖怪であるらしいもので。私はそれに幼い頃から付け回されている。姿はずいぶんとかわいらしく、茶髪で耳にはさりげないピアスをつけており、爪もピンクで決めていて、私と同じ制服を着ているせいか、今時の女子高生といった感じ。ほんとに人にしか見えないんだけど、私以外には見えていないのだ。私よりも女子高校生感満載だというのに。だから出逢った当時は幽霊だと思った。その時は、制服も着ていなかったし、白いワンピースを着ていたから余計に。
だけど、本人(?)は妖怪だと言い張っている。名前を聞いても、ユウコだよとしか言わないので正確な妖怪名は分からない。人っぽい妖怪もいることにはいるし、幽霊ではないんだろう。口裂け女とか雪女とか……、隙間男とか餅じじいとか。死んで怪異になることだってあるし、うん。かわいいからよしとしようじゃないか。
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