ブリキ屋さん
小紫-こむらさきー
田舎の異常者
田舎ってやっぱり異常者が多いと思うよ。
え?異常者の話が聞きたい?あなたも変な人だね。
記事のネタに?いいけどつまらないよ?
えーっと私が住んでいたのは北関東なんだけど、東京ドームに収まるくらいしか人口がいない癖に治安が悪いところで、本当にわけからない異常者に遭う確率も多かったの。体感だけどね?
田舎だから道路に信号も少ないし、真っ直ぐな国道もあるからなのかな?
うちの近所でも結構人が死んでるんだけど…5年で4人くらいかな?全部ひき逃げなの。すごいよね。
やっぱり都内と違って田舎では車も飛ばすし、夜の農道は灯りもないからかな。
この前も墓場を挟んですぐのバイパスに繋がる十字路でまた事故があったから、横断歩道の前にお花が添えてあるって聞いたし。
私が地元にいたときも歩道にまで花が転がってたりするから蹴飛ばしたり踏んだりしちゃって正直邪魔だよね、ああいうの。ちゃんと献花台とか作れっての…。
そのバイパスにある十字路なんだけどね、あんなに見通しがいい通りなのになんで事故が続くんだろうね…って地元でも有名な魔の事故地って感じ。
ああ、でも幽霊とかの話は聞かないかな。それよりも人間が怖いって言うか、田舎特有の陰湿な性格の人たちがたくさんいるからめんどくさいよ。
夜中まで起きてると近所…っていっても100mくらい離れてるけど…。その近所の人が「あの家は何時まで電気がついててどうのこうの」ってうるさいし、洗濯物の干し方にも文句を言われるし、持ち家がない団地とかアパートに住んでる人間は信用するなってアパートの前でどうどうと大声で話しちゃうような人がたくさんいるからね。
それで、そう。何の話だっけ…。
ああ、異常者の話。
うちにも長年嫌がらせしてくるヤバい人がいたんだよね。えー?今はどうしてるのかなんて、流石にわかんないよ。
それでね、無言電話がよくかかってきて、当時は子供だったからわからなかったけど、やっぱり一日に何回も無言電話が来る状況っておかしいよね。
おばあちゃんとかは「まーたブリキ屋さんとこか」って呆れた風に言ってた。
やっぱり田舎だから近所の人と揉め事は起こしたくないのか、無言電話が来ると受話器をそのまま置きっぱなしにして作業を始めちゃうのね。なんで電話をさっさと切らないのかわからなかったけど、無言電話が来たら切らずに置いておきなさいってお母さんに言われたから私も言われたとおりにしてたんだよね。
ブリキ屋さんってのは、よくわかんない。屋号?ってやつ?
なんか、ブリキ屋さんの娘さん…って言っても、若いわけじゃなくて、私が子供の時には中年のおばさんだったから…今はもうお婆ちゃんとかなのかな。
そのブリキ屋のおばさんが頭がおかしくなっちゃったらしくて、前まではうちにもよく来てたのに急に家に来なくなっちゃったし、外にも出てこなくなっちゃったんだって。
無言電話もそれから増えてきた気がする。小さかったから細かくは覚えてないんだけどね。
私が小学生になっても無言電話はきてたのね。
最初は週に何回かだった無言電話も、その頃には一日10回くらいに増えてきて、でも受話器を取って相手がなにも話さなければ受話器を放置すればいいだけで楽だったんだけど、ちょうどお婆ちゃんが猫を袋に詰めて川に流しに行った帰りに見ちゃったんだって。猫?ああ、生まれちゃったけど飼えない猫って袋に詰めて捨てるから、それ。うん。どこでもしてるでしょ?
あ、そうそう。それで、お婆ちゃんが見たんだって。ブリキ屋のおばさんと家族がめちゃくちゃ揉めてるところ。
もう罵詈雑言の嵐で、今にも殴り合いが始まりそうだったから逃げてきたって言ってたの。
駐在さんが来て喧嘩を止めたらしいってのは、その後にお茶を飲みに来たおばあさんが話してて、その時にまた無言電話がきたので「なんだブリキ屋さん元気なのか」って二人は言い出してさ。
いや、元気なのはいいことだけど無言電話でそれを計るなよって子供ながらに思っっちゃった。
私が実家を出ちゃったからそれからブリキ屋さんが今どうなってるかはわかんない。
でも、喧嘩から1週間かな?よく覚えてないけどブリキ屋さんの家が燃えちゃったの。
ブリキ屋さんのお婆ちゃんとお祖父ちゃんは死んじゃって、娘さんは重症だったからお葬式もろくにしないで家が更地になったのは覚えてる。娘さんは多分どこかに引き取られたんだと思うよ。
娘さんが生きてたのをなんで知ってるかって?
だってそのおばさん、多分入院してるはずなのにうちに無言電話してきたんだよ?ウケる。
そんなときまで無言電話してこないでいいのにね。
なんか、うちの地元急に人が狂ったり、家が燃えたりするの多いんだよね。
猫を川に流す話?庭に埋めちゃうと猫が恨みを持って呪うから川に流して遠いところで死んでもらうとかお婆ちゃんは言ってたよ。うん、多分地元の人は誰でもしてると思う。
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