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(ギンザシックスの地下一階、ビューティ)へと泳ぎ上っていった。
おたまじゃくしになってしまった俺は果たして俺だと言えるのか、それは誰にもわからない、俺にだってわかりゃしない、ただおたまじゃくしにも意識はあった、それが俺、それこそが俺?
おたまじゃくしは□□□□□□□□□□□□□□■□□□(ギンザシックスの地下一階、ビューティ)を泳ぐ、場違いではあれど追い出されることはない、なぜならここは性の華やぐ美容街で、あらゆる性があらゆる性を着飾るところ、一糸どころか骨身すらない俺だとしても本を正せば同類なのだ、性の絶頂から来たもの同士でみんなそれぞれのセックスがある、■■■■■■■■■■■■■■■■■■(ギンザシックス)で自分たちのセックスを惜しげもなく披露する、だからそれぞれのセックスから放たれた俺たちはきっとそれぞれのセックスに帰るのだろう。つまり俺の始まりはセックスなのであって、であれば、俺のセックスはまた新たな俺を産み出すことになるのだろうか。
化粧品のにおいが舞い女と男の肌が踊る、興味は尽きない、小さな身体から無制限な妄想がわき出して止まらない、知らないからこそ自由奔放で、おたまじゃくしはどこまでもほとばしっていく、産みたい産まれたい、注ぎたい注がれたい、入れたい入れられたい、出したい出されたい、見つけたい見つけられたい、認めたい認められたい、確かめたい確かめられたい。
だがしかし。
ここは天下の■■■■■■■■■■■■■■■■■■(ギンザシックス)だ、すべては末代までの語り草で、知らないからこそ時期尚早で、その先に待ち受けているのは笑い者であって晒し者だ。あらゆる初めてが未経験なおたまじゃくしには浸れる化粧水などないのだ、未成熟なおたまじゃくしは死に絶えてしまう、アルコールは成人になってから、ならば、血肉も成人になってから、人に成ればこそ肉を纏い血を巡らす、早く人間に成りたい。
そのためにも。
俺は今一度、問わねばならない。
俺とは一体なにものなのか。
おたまじゃくしはさすがに戻りすぎで、さすがに先走りすぎだった。それが俺の本性だったとしても、それが俺のすべてではない。日本の、東京の、銀座六丁目の、この■■■■■■■■■■■■■■■■■■(ギンザシックス)にいて、それだけに囚われてしまうのは最低で、それを受け入れてしまうのは最悪だ。俺は認めない、そんなおたまじゃくしは俺であっても俺ではない!
そう思う俺だけは他のなにものでもない確かな俺だった。
俺は□□□□□□□□□□□□□□■□□□(ギンザシックスの地下一階、ビューティ)から
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