独立装甲旅団、奮闘セリ
野口健太
プロローグ
雪中行軍
冬の季節をむかえて随分と経ち、『帝国』と『連邦』の両軍が対峙する東方戦域はどこも雪景色と化している。
戦域中央部に位置するこの平原も、水分由来の白い堆積物にすっかり覆われてしまっていた。気温はマイナス二〇度を下まわり、冷たい風が絶えず吹きすさんでいる。空は分厚い雲の支配下にあり、昼前にもかかわらず周囲は薄暗い。せめてもの救いは今現在、降雪がやんでいる事ぐらいだろう。
そんな過酷な天候のもと、六両の戦車が縦隊をなして北東に進んでいる。
各車は直線的なフォルムと長い砲身をもち、冬用の白い迷彩塗装をほどこされていた。雪が積もった不整地上のため、走行スピードは時速一〇キロ程度とゆっくりだ。不測の事態にそなえて主砲は別々の方角をむき、砲塔のハッチから半身を出した車長たちが、警戒のため辺りを注意ぶかく見やっている。
車列の前から四両目――21号車に乗る、カール・シュナイダー帝国軍少尉もその一人であった。
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