第243話 愛の告白選手権 後
エントリナンバー2番の一ノ瀬が歩いてきた。
さっきまでの村瀬みたいに下を向いたりすることなく、堂々と歩いていた。
こいつって本当に緊張とかしたことないんじゃないか?
「一ノ瀬さんは私たちのクラスで学級委員長をしてくれているんですよねー。頼りになる学級委員長ですよー」
やっぱり同じクラスの方でしたか……。すいません、初めて名前知りました。
「それでは、一ノ瀬さんは今日は誰に愛の告白をしますか?」
山城はさっきみたいに相手を聞いた。
一ノ瀬って好きな人とかいるのかなぁ……?どんなやつなんだろう。
「はい、その人は高校で初めて知った人なんですけど、とっても面白い人で、その人とお話ししてる時はとっても楽しいんですよ」
おい!その相手がもし俺だと言うならそれは間違っている。たしかに普通に話すこともあるが、そのほとんどはからかわれてるだけなんだが?楽しいってからかって楽しいってことなんですよね?
「そうなんですかー、それでは告白いきましょうか!」
一ノ瀬がマイクを取り、まっすぐ見る。俺の方を。
「初めて会った時はなんとも思わなかったけど、今では結構信頼もしてるし、結構一緒にいて落ち着くかな。今度のデート……あ、まだ付き合ってない時はお出かけなんだったけ?それならそのお出かけ楽しみにしてるね?大好きだよ」
「「「「うおおおおおおおおおおお!!!」」」」
最後にウィンクまで決めて完璧に破壊力がえぐかった。
歓声の方もさっきとはレベルが違った。
なんか一ノ瀬がアイドルみたいに見えてきた。
「ありがとうございましたー。後でその好きな人教えてねー」
山城も仲のいい一ノ瀬には結構フレンドリーに話していた。
「な・い・しょ・だよ」
「「「「うおおおおおおおおお!!!」」」」
この方は完全に男心というものをわかってますね。最高でしたね。
「はい、それでは続きましてエントリナンバー3番宮下真昼さんです!」
真昼が登場する。
「「「「うおおおおおおおお!!!!」」」」
それだけでまず歓声が響き渡った。
まあ、理由は簡単だ。
めっちゃ美人なのとあれがビッグだからだ。
歩くたびに上下にするあれを見て観客の視線も上下していた。
おい!
「それでは相手はどんな方ですか?」
「はい、その人は私の幼馴染で、すっごく優しくて私にとってヒーローみたいな存在です」
「へぇー、とっても好きなんだね?」
「うん!」
何やら舞台上の2人だけで会話が弾んでいた。
「あ、そうだった、告白だ。それじゃあ宮下さんいきましょう!」
真昼が1人立つ。
「えっと、いつもヒーローみたいに助けてくれる京くんのこと小学生の頃からずっとずっと好きでした。今みたいにみんなで楽しく過ごすのも楽しいけど、私は京くんと一緒にデートとかしてみたいな。恋人として。京くん!大好きだよ!」
真昼は俺の名前を軽々と公表していた。
まあ、真昼っぽいけど。
「えっ?!森木なの?!」
その山城のセリフで俺の本名がバレてしまった。
「森木ってやつ羨ましいなー!こんな美人にこくられるとか。どんだけイケメンだったら付き合えんのかなあ」
近くの男性が話していた。
あ、どうも……。
郷田とも目があった。
「は、はい、ありがとうございましたー!それでは次!エントリナンバー4番、白雪小春さんです」
白雪さんが体に手を当てながら歩いていた。
やっぱり恥ずかしいらしい。
「それでは白雪さん、思いを伝える相手を教えてもらってもいいですか?」
山城がさっと同じように相手を聞く。
「は、はい!森木さんです」
「「「「「「「えっ?」」」」」」」
山城、そして観客たちの声が重なった。
あれ?そこ名前を答えるとこじゃないよ。
「くそー!森木ってやつが羨ましいぜ!」
あ、ああ、どうも……。
郷田とまた目があった。
「そ、そうですかー、森木くんはモテモテですねー。それではいきましょう!」
「あ、いやそういうわけでは……」
きっと白雪さんは俺のことが異性として好きだというわけではないと言いたかったのだろう。しかし、山城が離れていったので言えなくなった。
頑張れ!
「えっと……森木さん、まずは遊園地で私を助けてくれてありがとうございました。あのときのことがなければ今私たちがこのように遊びに来ていたとも思えません。森木さんは私の大切な友達です。これからも仲良くしてくれると嬉しいです。大好きです」
なんか、白雪さんへは歓声というよりかは応援みたいな声が多かった。
まあ、応援したくなる気持ちはよくわかる。
「あ、ありがとうございましたー。それでは最後です。白雪愛彩さんです!」
今は『愛の告白選手権』が終わった後だ。
今回の優勝者はあいちゃんだった。
『お兄ちゃん大好きー!』
この一言でここにいる男性諸君は皆心を奪われてしまったのだ。
みんなロリコンだった。俺は違うけど。
こうして、『愛の告白選手権』はあいちゃんの優勝で幕を閉じた。
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