第122話 VS郷田

翌日。そう、テスト返却だ。


俺たちの学校では、テストの返却はテスト終了の翌日に行われることになっている。


採点間違いの可能性もあるため、順位は数日後に発表となる。


先生も忙しいことだろう。いつもお疲れ様です。


いろんなやつと勝負している俺からすれば、ものすごく緊張する。


まあ、ほとんどの勝負がほぼ負け確定なんですけど。


村瀬の家に泊まってる組は、村瀬の家に帰るまでは秘密にしておくことになった。


村瀬の家で全員公開って感じだ。


てことで学校で勝敗が決まるのは郷田との勝負だけと言うことだ。


まあ、若干諦めムードなんですけどね。


学校に着くと、いつも通り郷田がやってくる。


「やあ、おはよう京。逃げずにやってきたのは偉いぞ。褒めてやろう」


お前実はアニメとかめっちゃ見てるんじゃないか?なんかそのセリフ、なんか強い敵キャラのよく言うセリフに聞こえるんだけど。


「いや、まだ絶対負けたってわけじゃねえし。俺だって今回は勉強したし」


「まあ、言ってろ言ってろ。すぐに分かるさ、実力の差ってやつをな。まあ、軽く50点差はあるだろうな。俺はこの夏は最高の夏にすると決めたんだ!」


そう言って右手の拳を上に上げる。


頼むからやめてくれ。周りの友達からの視線が痛い。あ、俺友達とかいなかったわ。



こうして始まったVS郷田戦。


まずは英語だ。まあ、これは……


「80点だ!」


「59点……」


「ははは!勝負は見えてるようだな!」


なんだこいつ!ムカつくな!一発殴りたい……。いや、やめておこう。こいつに一発殴ったら何倍になって返ってくるか分からないし。


まあ、次は勝てるだろう。


「次は理科!俺は74点だ!」


ふふふふふ……。俺は自分の答案用紙を見せながら言う。


「お疲れさん。96点。残念だったな。逆転だ」


「う、うそ……だろ……」


「悪いな。理系だけは得意なんだ」


なんか、気持ちいな!


「つ、次は国語だ!78点!」


「っ!46点……」


何という失態。さっきまで一点差だが勝っていたのに、今では31点差で負けている……。くそー!


「ははははは!そんな点をとって俺に勝てると思わないことだな!」


く、くそおおお!!!悔しい……。


「もう緊張もねえわ!次は社会!ふん、これは勝ったな。89点!」


「悪いな!97点!」


今は23点差。正直言ってどっちが勝つかは分からないな。俺はおそらく100点だ。てことは、郷田が77点なら同点。76点以下で俺の方ということか……。


あのテストなら、郷田ほどの学力があるやつはどうせ90点ぐらいとってくるんだろうな。


はあ……。国語が……。国語があと10点高ければ、もっといい試合ができたのに……。


「それじゃあいくぞ!せーの!」


俺たちは自分の答案用紙を見せる!


「ざまあみろ京!俺は今回のテストで80点とっ……た……って!お前なんだよその点数……。ひゃひゃひゃくって書いてるけど……」


「おう、俺は100点だ。郷田は80点か。てことは、俺の負けだな。3点届かなかったわ」


「いや、それどころじゃねえだろ!お前100点とってその態度はどういうことだ?!まるでいつもとってるみたいに……」


勝負には負けたけど、ちょっと嫌味っぽく言ってやろう。


「まあ、いつも100点だったから、特に何とも思わないって感じだな」


どうだ!ちょっとは悔しいか?!おい!どうだ?!


「まあ、そこは素直にすごいと思うけど、勝者は俺だ。約束を忘れたとは言わせないぜ?」


ちっ、運が良ければ約束のこと忘れるかと思ってたのに。


「まあ、さすがに忘れたと言っても余計にめんどくさそうだしな。で、命令ってなんだ?」


俺は覚悟を決めた。「真昼と付き合うの手伝って」とか言われても、命令だから従わなければなからない。よっしゃ、こい!


「林間学校、俺と一緒の班になって、宮下ちゃんと一ノ瀬ちゃんをその班に入れてくれ」


「…………は?」


「だ、だから!林間学校で、宮下ちゃんや一ノ瀬ちゃんと楽しみたいって言ってんだよ!」


「なんだ、そんなことだったのか。ちょっと安心したわ。てっきり、「真昼と付き合うまで手伝え」とかいうかと思ってたわ」


「さ、さすがに自分の恋は自分の力でやってみせるさ。そこまで腐った人間じゃねえよ」


「へえ……。わかった。じゃあ言っとくよ」


よっしゃーーー!どうせ真昼と村瀬は俺の班に入ってくるだろうし、あとは一ノ瀬だけか。それなら、真昼とかいるから楽勝なんじゃね?

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