第120話 数学

テストが始まった。



◆京の場合


俺はテストが始まって名前を書いた後、すぐに全体的にどんな問題かを把握する。


やべっ!この問題真昼とかに教えてない。


でも、まあ、全体的に見てそこまで難しい問題は……ないかな。正直、中間テストに比べたらかなり簡単だ。


一ノ瀬なら100点も狙えるんじゃないか。


俺ははじめに戻り、問題を解いていく。


ふう、今回も止まることなく解き終えることができた。今回のテストは100点が10人ぐらい出るかもな。


時計を見る。まだ試験は20分ほど余っている。


いつもなら見直しなどはせず寝ているのだが、今回は2人のことが気になって寝ることもできない。


あいつらはちゃんと解けているだろうか。


でも、このテストなら2人とも50点、いや、60点ぐらい取れるかもしれない。


俺は微かに期待する。


でも、もし、あいつらが追試と決まった時、俺はどんな顔して会えばいいんだろう。って、そんなこと考えるな、俺は馬鹿か!



◆真昼の場合


私はテストが始まり、まず名前を書く。


そして、はじめから解いていく。


途中でやった気がするけど分からない問題、全く分からない問題もあった。


でも、中間テストの時と比べたら見違えるほどできるようになっている。


これも全部京くんのおかげ。


絶対に村瀬さんなんかに負けない!私がこの勝負に勝って京くんとデートすんるんだ!


私は懸命に解いた。


惜しくも最後の大問の説明を書いてる時にチャイムが鳴ってしまった。



◆一ノ瀬の場合


私はテストが始まると、名前を書き、そして全ての問題を軽く見る。それで、どれくらいの時間配分で解くかをなんとなく決める。そのあと問題に取りかかる。


幸いなことに今回のテストはかなり簡単なものになっていた。


これなら京くんは間違いなく100点をとってくるだろう。


それなら、私には100点を取る以外に選択肢はない。


私は最後まで解いた後もしっかりと見直し。1点落としたら負けの勝負。死ぬ気で間違いがないか確かめた。



◆村瀬の場合


私はテストが始まって、名前を書いた後、すぐに問題に取りかかる。


おおおおおお!!!分かる!分かるぞおお!


けーちゃんに教えてもらったおかげで半分以上の問題が分かる!


今までほとんど空白で出していた私なのに、今日はちゃんと解けてる!


ちゃんと最後まで解けた!


これならいける!


絶対に宮下さんになんか負けない!


けーちゃんとデートするのはこの私なんだから!



◆郷田の場合


男には負けられない戦いがある。


俺はこの勝負に勝って最高の夏を過ごしたい。


絶対に負けるものか!


テストが始まり、名前を書く。そして、問題に取りかかる。


やっべ、めちゃくちゃ簡単じゃん!これなら80点、いや、90点だっていけるかもしれないぞ!


おっしゃあああああ!!!!!


勝ったな。悪いな京、誰か1人譲ってもらうぜ。



「そこまで!」


全員ペンを置いた。


よっしゃ!テスト終了!

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