第100話 最弱真昼
真昼の子どもらしいところも見れたとこれでトランプ大会が開催された。
最初にするのはババ抜きだ。流石にルールがわからない奴はいないと思うが、考えて見て欲しい。
2人でババ抜き……。ババを持っているのが一瞬でわかる。
それなのにこのババ抜きというチョイス。やっぱりバカだ……。
2人ということもあり、最初に配られるのは多いものの、すぐペアになるので結局俺が3枚、真昼が4枚でゲームは始まった。もちろんババを持っているのは真昼だ。
「さー誰が持ってるのかなー」
え、こいつ本物のバカか?2人でやるのにそんなことして意味ないことに気づかないのか?
まぁ、ここは親目線になってあげよう。
俺がババを持っている真昼の持ってるトランプを引いてスタートだ。
あれ?なんか……真昼がずっと一枚のトランプばっかり見てるんだけど……。これってもしかして……
俺は真昼がずっと見ているカードではなく、その隣のカードを引いた。
もちろんそのカードはババではなかった。
真昼は一瞬悔しそうな顔をしたが、すぐに平静を装う。
いや、その行為まったく意味ないからね!君がもってるのは完璧にわかってるんだからね!
次はババを持っている真昼が安全なカードしかない俺の手札から一枚とる。
「んー、どっちだろうなー。こっちかな……?」
この世で一番無意味な心理戦が始まってしまった。
君には俺たち以外に誰か見えてるのかな?それで自分が持ってることを隠すためにやってるのかな?
病院に連れて行った方がいいか?
真昼は必ず安全だとわかっているのに数秒悩み、そして一枚引いた。もちろんそれはババではなく、ペアができる。
こうして一瞬で最後の状態になった。
どうするべきだろうか……。ここはあえてババを引いてあげるべきなのだろうか。
いや、もしかしたら、これで勝負に負けてトランプ遊びが終わるかも。ひとまず勝たせてもらうか。
俺はなんの迷いもなく真昼の目線と逆のカードをとった。もちろんそれは安全なカードで俺はペアができ捨てる。やって真昼の敗北となる。
「うそ……、どうして……。も、もう一回!」
終わる気配すら見えなかった。
どうやら俺が負ける必要があるようだ。
第二戦、先ほどとほとんど同じで、2人がそれぞれ一枚ずつ多いだけだ。ババは真昼で。
先ほどと同じように、俺が引いてスタートなので、俺は一枚引いた。はじめなので安全なカードを引かせてもらった。
そして、先ほどと同じように真昼と無意味な心理戦をしたりしていた。
そして、俺がとる番。今回は少しとるときに悩んでるフリもした。そして、ババに手をかける。
おい!顔が若干ニヤついてるぞー!
俺はそのニヤついた顔をなるべく見ないようにしながらババを引いた。いや、引いてあげた。
真昼は満面のニヤケを見せてくる。
それは見られてもいいんかい?!
次は真昼が俺のカードを引く番。俺はわかりやすいように真昼と同じようにババのカードを見続けた。
すると、真昼から衝撃的なセリフが聞こえた。
「はははー、京くんババのカードずっと見てるじゃん!それなら丸わかりだよー!」
それはお前だあぁぁぁぁぁ!!!
危ない……。口から出るとこだったわ。
真昼は見事にババを回避する。ちょっとほっとしてしまった。
そして、次の周。真昼が俺のカードをとるときにまたしても予想を覆してきた。
俺はわかりやすいように方針は変えずにずっとババを見ていた。すると、
「はははー、なるほどね。次はあえてババでもないカード見てるんでしょ。バレバレだよっ」
なるほどじゃねーよ!こんなとこで変に頭使うなよ!
真昼はババを引いた。そして、「くそっ」と小さく聞こえる。
いや、そこ小さくする意味ないからね。わかってるから……。
その後も、頑張って負けるように努力した。真昼はものすごく強敵だった。負けるのにこんなに苦労するなんて初めて思ったわ。
その結果、やっとのことで敗北できた。負けて嬉しいなんて一生のうちに一回もないと思ってたな。なんかめちゃくちゃ清々しい気分だ。
その勝利で調子に乗った真昼はどんどん次のゲームを始める。大富豪や七並べなどだ。
それでも出来る限り負ける努力をした。七並べなんてゲームでもなんでもなかったし。
最終的に見てみたら、俺たちは1時間ほどトランプで遊んで(遊んだ?いや、働いたよな?)いた。
今思ったけど、今ってテスト1週間前だったよな?ちょっと遊びすぎちゃったか?
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