第03話 始まりの言葉
「Meiでーす!私今とても幸せだよぉーー!」
「わたしの彼・・・いやー照れるーー!」
「この喜びを込めて今日は歌うよーー!」
「みんなも幸せに行こーー!」
歌番組でご機嫌なアイドルのMeiちゃん。最近この娘おおっぴらに話してるなぁ。それだけ幸せなんだろうな。彼か・・・僕もみどりさんからそう言われたいなあ。
今日は、待ちに待ったみどりさんから通話で連絡がある日、初めて声が聞けるんだと喜びと初めてでの緊張でなんか今日の一日の時間の流れが遅いこと遅いこと。
早くこないかなぁ。
「ふぁぁぁぁっ」
昨日あまり寝れなくてあくび出るわ。
そういや、今更ながら思うけど、18歳で婚活とかよく手を出したよなあ。僕とかはどうしようもなくてこの歳で手を出したわけだけど、みどりさんくらいの年齢ならこんなとこ使わずとも彼氏とかすぐ見つかるような気もするんだけど。でも、姿は見せられないってとこでなにか事情があるんだろなあ。まあ、見た目とか僕は気にしないし、みどりさんは僕の見た目でも問題ないって言ってくれたし。
でも、まだ不安がある。
年の差もだし、未だに「嘘だよん。」とか言われて見捨てられるような・・・詐欺とかもあるし。でも、信じなかったら彼女になんて出来ないよね。信じる信じるから。。。
ぷるるるる。ぷるるるる。
スマホがなる。ちょっとびっくり。着信を取る。
「もしもし?」
「あっ、こちらでははじめまして、みどりです。」
おーーーーーーーーー。可愛い、そして透き通ったきれいな声。でもなんか聞いたことあるような声だな。気のせいかな?
「こちらこそ、〇〇です。なんかとても嬉しいですね。声が聞けて。」
「私も・・・」
「いつも忙しいみたいだけど、今日は仕事大丈夫?」
「あっはい。大丈夫です。今日はなんとかスケジュール空けましたので」
と思ったより上手く会話が続いた。やっぱりメッセージのやり取りをしていたのが
大きいのかな?最初は緊張したけど、結構気楽に話すことができたみたい。
だけど急に彼女が話さなくなり・・・どうしたんだろ?と思っていると、彼女から
「ひとつお聞きしてもいいですか?」
「なに?みどりさん。何でも聞いて。」
「会えない、写真さえ見せない、年も離れてる、いろいろ○○さんに対して問題があるわたしですけど、あの・・・あの・・・○○さんはわたしの彼氏ってことでいいですか?」
少し上ずった声で尋ねてきた。緊張した声も可愛い・・・
「いや、逆に僕が聞きたかったことだったよ。先に聞かれちゃった。年も離れてて、おじさんだし、外見も見せたとおりいいところないし、今まで振られっぱなしで彼女なんてできたことない僕でいいのかと。」
「あっわたし○○さんの初彼女なんですね。嬉しい。」
「おっそういうことか。それなら今まで彼女がいなかったのもある意味いいことかな?」
「んー嬉しいですけど、なにか複雑ですね。彼女がいなかったことを喜ぶのって・・・」
「あー。それと。大事なことをまだ伝えてなかったから。会ったときにと思ってたけど、みどりさんが伝えてきてくれたから、通話で申し訳ないけど、きちんと伝えるね。」
「みどりさん、僕と付き合ってください。」
僕は、まだ、付き合ってほしいという言葉を伝えていなかったから。彼女から彼氏と認めてもらえてた事がわかったから。きちんと始まりの言葉をしっかりと伝えた。
「はい。こちらこそよろしくおねがいします。」
そしてポツリと呟いた。
「嬉しい。」と。
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