第21話 クリスマスの過ごし方
今日はクリスマス。
昨日のイブは、俺と穂香にとって最も忘れられない一日になった。晴れて俺と穂香は恋人同士となり、名実ともにリア中の仲間入りだ。
いつも俺たちは基本的に早起きなのだが、今日に限ってはもう昼だ。原因としては、二人で明け方までイチャイチャしていたから。
俺たちは二人とも体力もあるし、勤勉でもある。色々試しているうちに回数も時間も凄いことになっていた。近いうちにアレを買い足しに行かなければならないだろう。
目を開けると、俺の横には女神様が眠っていた。
無防備で可愛い寝顔は、起きているときより若干幼く見える。軟らかそうなほっぺたを指でつつくと、適度な弾力で跳ね返してくる。
「ん……んん……」
穂香が寝返りをうつと、更に無防備な姿になった。
仰向けになってしまったので、たわわな果実が俺の目の前にきた。明るいところでまじまじと見るのは初めてだが、仰向けでも形が崩れない張りなど、思わずゴクリと喉が鳴ってしまう。
「えっち……」
不意に聞こえたその言葉に、心臓が高鳴る。してはいけない悪戯をして、バレた時の子供の心境だ。
ゆっくりと首を動かし、声のした方を見ると、小悪魔的な笑みを浮かべた女神様がいた。起きてたのか。
「もう、昨日たくさん見たり、触ったり、他にも色々したじゃない。まだ足りないの?私、メチャクチャ恥ずかしかったんだからね」
「いや……目の前にあったから、つい……」
「ふ~ん、最初ほっぺたツンツンしてたのに、胸が見えるようになったらそっちばかり見て……えっち」
「う……すまん」
ダメだ。言い訳しようが正直に話そうが、今は完全に穂香に主導権を握られている。何となく浩介の気持ちがわかる気がする。
「じゃあ、ぎゅーってしてくれたら許してあげる」
「わかった。任せろ」
言われて穂香の身体を抱きしめる。穂香も俺の背中に腕を回してくる。穂香の髪っていつもいい匂いがするな。気分が落ち着く感じだ。
「ん~ユウ君成分補給できた感じ。ねぇ、シャワー行こ」
「ああ、一緒にか?」
そう言うと立ち上がった穂香が俺の手を取った。明るいところで普通に見られるのは恥ずかしいのだろう、バスタオルを身体に巻いている。
「うん、あ~なんか歩きにくい。これが噂に聞いたあれかぁ」
「大丈夫か?」
「大丈夫。これはユウ君のせいだけどね~嬉しいからいいの。ユウ君のものになったって実感してるの。だから、気にしないで」
女神様が急に強くなった気がする。する予定もする気も絶対ないが、もし浮気なんてしたら、俺は埋められてしまうだろうな。
シャワーを浴びて、軽く食事をした後、特にすることもなく寛いでいたのだが、突然穂香が口を開いた。
「ねぇ、ユウ君。今日もお泊りしていい?」
「ああ、もちろんいいぞ」
「やったぁ!……ん?ん~今思ったんだけどね。私って今までも、お風呂と寝るとき以外ここにいるよね?」
「あ~そういえば……そうだな」
確かに穂香は、朝起きたら朝食作りに来て、平日は学校、休みの日はここにいて、夕方は夕食作って、寝る前に戻る。みたいな感じだ。
うん、寝に帰ってるだけだな。
「じゃあ、私もここに住むって……ダメ?」
嬉しいことだが、問題も色々ありそうな案件だな。
「それは……俺は構わないが、ずっと住むなら、最低でも母さんと、穂香のおばあちゃんには許可もらわないとな」
浩介達に冷やかし食らうだろうが、そんなことは些細なことだ。
「希美さんは許可もらえそう?おばあちゃんは大丈夫だと思う」
「母さんは、穂香の事を気に入ってるみたいだし、話してみる価値はあると思う。何か条件付けられるかもしれないけどな」
「うん、連絡先交換してるし、定期的に連絡してるよ。年内に一度来るって」
「は?」
おい、ちょっと待て。今何かとんでもないこと言ってなかったか?
「俺は聞いてないぞ。ちなみに何を連絡してるんだ?」
「ユウ君がちゃんとご飯食べてるかとか、好き嫌いしてないかとか?」
「おい、俺は小学生か」
この前来た時以降のことは筒抜けだったりするのか……
「あ、正式にお付き合いすることになりましたって言ってあるからね」
「な、マジでか?」
さっき携帯で誰かとやり取りしてたのはそれか。あまり余計なことは言わないように言っておかないと。
「大丈夫、ユウ君に女にしてもらいました、とかは言ってないから。顔に出てるよ、ヤバいことは言わないでくれって思ってるでしょ?」
「ああ、何でわかったんだ?」
「ユウ君の扱い方を希美さんから勉強中なの」
「そうか……それは、ほどほどにしておいてくれると助かる」
俺の包囲網が完成しつつあるな。なぜ俺の周りは強い女性が多いのか……
結局クリスマスは一歩も外に出ないで、穂香と一日中一緒に過ごして終わった。
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