さようなら、ギャングたち/高橋源一郎

予想以上に難しい小説。抽象的な物語(詩?)を多層的に重ねる脱小説的な様式は美しく、また現代文学への批評を含んでいる事は解る。難しいのは、抽象を重ねて何を描いているのかという事。ギャングは暴力の暗喩だろうし、著者の半生を重ねれば学生運動を指しているのであろう。社会との関わりを描いているのだろうが、残念ながら全共闘時代の世相や風俗に疎く、詩の知識に乏しいため理解が難しい。細部は美しくユーモアに富み好きな類の小説なのに、深い理解が叶わないのは歯がゆい限り。小説の面白さは、読み手の知識に依るところも大きいですね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る