群像 2010年 08月号(ドナドナ不要論/舞城王太郎)

舞城王太郎『ドナドナ不要論』読了。いわゆる“難病物”だが、舞城が“大切な人が死んで悲しい”などという物語を紡ぐ訳もなく、そこに生じる理不尽との折り合いの付け方や、難航する意思疎通の解決が描かれる。「恥こそが日本人の強みだったのにね。それを一部でも失い始めるとゆっくりと確実に総崩れだよ。(作中より)」このような作中で披露される倫理観には共感を覚えるし、意思疎通の機能不全に関してはまるで自分の周辺の問題が描かれているような既視感を覚える。近作では虚構ぬきで描かれる事が多いので、以前よりストレートに響きます。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る