書評『たかなんの本棚』〜 二五五文字の読書感想文
からした火南
暗闇の中で子供/舞城王太郎
作中の「ある種の真実は、嘘でしか語れないのだ」との言葉通り、虚構に満ちた物語。これだけ嘘を振り回して、何を語っているのかと言えば結局は愛。かけ離れた方向から語り尽くすものだから、余計に際立つというね。【以下ネタバレ】直接的に「ハンニバル」からの引用があるけど、他にも映画の引用と思われるパーツを散見する。手塚治虫「ブラック・ジャック」からのパーツ(腫れ物・メス)が紛れていた事には、ニヤリとした。四肢を失ってカタルシスを得るラストは、まるで村上龍の「イビサ」。俺の中で舞城は、村上龍の延長線上にあるのだが……。
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