重ね、煩う

冬空ノ牡羊

第1話 ねむれない夜に

「もしもし、寝てた?」

 

 日付はいつの間にか変わり、1時を過ぎようとしていた。

  昨日はいろいろなことがあって疲れているはずなのに、なかなか寝付くことが出来ない。

 気を紛らわすことも出来ず、仕方なく、友人に電話をかけてみることにした。


『んや、ちょっとパソコンでゲームしてた』


 友人の名前は、須藤 麗奈すどう れな。若干オタク気質な、新聞部員の2年生。多分起きてるだろうと思って電話をかけてみたけど、予想どうりで安心した。


「ちょっと相談事」

『……蓮が電話してくるって時点でなにかあるとは思ったけど、声から察するにかなりの重症なんじゃないの』


 新聞部員というだけあって、麗奈は洞察力が高く、こちらの気持ちを察してくれる。あまり友人を作ることのない蓮にとって、彼女はかけがえのない存在だ。唯一無二の友人というのは、こんな人のことを指すのだろう。


「うん。ちょっと今日ね」

 そう言いかけて、もう日付が変わっていたことを思い出して言いなおす。



「……昨日、失恋した」

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