数の旅人 VERY HARD MODE

巨大数大好きbot

第1話 0

『Ki ury1 ga di dolyme4?』

一人の女性が僕に語り掛ける。今までに会ったことのない人だ。その前に、彼女は何語を喋っているんだ。それに、ここはどこだ。僕は周りを見渡す。僕は白い部屋の中にいるようだ。部屋の隅にはカメラがついている。おそらく僕は今監視されているのだ。


そこまで考えると、その女性がまた口を開いた。

『Ki ury1 di golefohy4. Ki voka4 ly Salu2 luzy1.』

僕は戸惑った。彼女が何を言っているか、全くわからないからだ。僕は試しに英語で話しかけてみる。

「Do you speak English?」

『Ki kury1 ka ury1 te laroko4. Ki ury1 ka Samogure3 malazi1?』

何を言っているか全くわからない。都合のいいことに、壁に何かのシンボルが書かれている。とりあえず僕の知っている言語で、シンボルを指差して「これは何ですか?」と聞いてみよう。もしそのうちのどれかの言語が話せるのであれば、話は早い。


「これは何ですか? What is this? Qu'est-ce que c'est? Was ist das? 이게 뭐야? 这是什么? Cos'è questo? Hva er dette? Vad är detta? Mikä tämä on? นี่คืออะไร? यह क्या है? Kio estas ĉi tio? Fqa es harmie? Tu et to? Dochvam nuq?」


彼女は、何を言っているかわからないという表情で、手を左右に振っている。これが「わからない」のジェスチャーなのだろうか。


『Ki hynge4 xove2 ly figi1 luzy1. Ki kurymy1 boko1 na xove1 kohy2.』


彼女はシンボルを指して何か言っているが、全くわからない。


何か方法はないのか。僕は言語が通じない系の小説がどう始まったか思い出す。そうだ。胸に手を当てて、名前を言えばいいんだ。


僕は胸に手を当てて自分を指していることを強調しつつ、自分の名前を言った。

「伊藤那由多」


彼女はわからないという素振りを見せたので、僕は何回かこれを繰り返した。そのうち、彼女は理解したようで、僕の方に手を伸ばして、

『Itoo4 Nayta2?』

と言った。/ju/が/y/になっているが、彼女にとってはその方が自然な発音なのだろう。YESと言いたいところだが、彼女に肯定を伝える方法がまだわからない。とりあえず「伊藤那由多」と繰り返して、それが僕の名前であることを強調した。


彼女は、僕がやったように胸に手を当てて、こう言った。

『Kury1 ki lyvy1 Zyhibeu4 Kyxaba1 ly Linu2 luzy1.』

名前を言っていそうなことはわかるのだが、どこが名前なのかわからない。それを察したように、彼女は名前だけを繰り返した。

『Kyxaba1 Linu2.』


キュハバ・リヌというのか。確認してみよう。できるだけ彼女の発音を再現して、彼女がやったのと同じ方法で、

「[kyxaba linu]?」

と言ってみる。


『Se, Kyxaba1 Linu2.』

彼女は肯定したように言った。多分これが彼女の名前なのだろう。こんな感じで、少しずつこの言語について調べていけば、そのうちこの場所についてもわかるようになっていくはずだ。

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