サブチーム



 東條は次の日、早速サブチームの編成が現実的かを検討し始めた。

 サブチームに分けるのは、戦闘チームだ。サポートチームは、指揮はないのでチーム分けはしない。

 異能犯罪者捕獲部隊にはサポートチーム5名、そして、戦闘チームには次の9名が所属している。

 赤崎 涼真

 青森 慎吾

 黄原 典正

 白川 有奈

 金城 英太

 紫村 摩耶

 黒峰 卓

 灰乃木 小太郎

 緑澤 美月


 戦闘チームのほとんどの隊員は、前衛・守り・後衛の役割が明確だが、青森と金城は他の役割と兼任している。

 青森は前衛と後衛、金城は汎用性が高い能力ゆえ、全ての役割に割り当てられる。

 だが、『漏れなく、被りなく』を意識してサブチームに分けるためには、役割を一つに決めたほうがよさそうに思えた。

 青森はもともと前衛向きだが、後衛が手薄だったために兼任としていた。だが、今は黒峰が後衛として育ってきているため、青森を前衛専任に割り振ることは問題ないだろう。

 だが、金城の能力、"武装使い"の良さは、汎用性の高さだ。一つの役割に限定してしまうことは、彼の実力を狭めてしまう。そこで、東條は金城にはメインとしては守りの役割としつつ、欠員が出た際には他の役割やってもらうことにした。


 そうして、東條はサブチームを3つ作ることに決めた。

 チーム分けについて、東條は悩んだ。主な原因は、各チームの実力を均等にする必要があることと、プロジェクトで取り組んだ連携技を使えるようにする必要があることだった。だが、全ての連携技を取り入れられる分け方ができなかった。金城のマグネットマグナムは、狼男を倒した時のように白川の銃撃と相性が良い。だが、他の要素を考慮した組み合わせの考えから、2人は別のチームとすることにした。

 ここには、”後衛による死角からの攻撃”の属人化排除の意図が入っている。白川、黒峰の”サイコキネシス”持ち2人は、は死角からの攻撃が可能だ。だが、残る1人の後衛、緑澤は”サイコキネシス”能力ではないため、他の方法を考える必要があった。そこで、マグネットマグナムの銃弾引き寄せを利用し、一定のレベルの死角からの攻撃を実現している。それぞれのチームで死角からの攻撃を行えるようにするには、金城と白川は別のチームとせざるを得ないのだ。

 それらを考慮し、東條は3つのチーム編成を行った。


 ・Aチーム

 前衛:赤崎 涼真(リーダー)

 守り:灰乃木 小太郎

 後衛:黒峰 卓


 ・Bチーム

 前衛:青森 慎吾

 守り:金城 英太(リーダー)

 後衛:緑澤 美月


 ・Cチーム

 前衛:紫村 摩耶

 守り:黄原 典正

 後衛:白川 有奈(リーダー)


 東條は各チームのリーダーも決めた。リーダーにはサブチームの指揮をしてもらう。

 Aチームのリーダーは赤崎だ。赤崎は実力もあり、チームの連携を行うようになってからは、判断も的確だ。これからは他のメンバーにも指示ができる存在になれるよう、リーダーの役割を任せることにした。

 Bチームのリーダーは金城だ。全ての役割を担当したことがある金城であれば、状況の判断が他の隊員よりはしすいのではないかと考えた。

 そして、Cチームのリーダーは白川だ。東條は当初、黄原をリーダーにしようと考えた。白川はプレーヤーとしては優秀である。だが、状況判断はまだ得意ではなく、リーダーは荷が重いのではないかと東條は思った。だが、白川はコーチングの時、自律的に動けるようになりたいと言い、トレーニングを実施している。

 東條は、彼女の向上心であれば、やる気をもってリーダーを担ってくれるのではないかと考えたのだ。Cチームには常に落ち着いて任務を遂行する黄原がいるため、リーダーとしても指揮がしやすいのでは、とも思った。


 リーダーを中心に普段からトレーニングを3人で行い、出動はこのサブチームで出てもらう。出動時には、初めは東條が指揮をサポートするが、最終的にはリーダーに指揮を任せる。


 だが、すぐにこの体制を導入することははばかられた。

 もちろん、各隊員、特にリーダーを任せたい3人には、意見を聞く必要がある。必要性を理解できないと、人は動かない。そのため、東條が一方的に決めた体制を押し付けても、よいチームの活動はできないだろう。

 また、赤崎も白川も、コーチングを通いて新しいスキルアップを志している。いきなりリーダーも同時に任せることは、負担が大きくなる。

 西陣の言葉を信じれば、すぐにエノトスに動きはないはずなので、しばらく時間を空けることにした。


★つづく★

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