第二部
河童歴970年。
X-TENの独裁プロレスは第七回X-TEN杯争奪戦により誰もが予想しない結末に至る。
準決勝におけるX-TENのまさかの敗北。それにより孤独義勇軍は解体。全ての元凶であるX-TENは何処かへ姿を消したのである。
トーナメントの異常事態はそれだけに留まらなかった。
X-TENを打ち破った風間愛々全裸(スペペペ愛妻家)もまた、決勝の会場から姿を消していたのである。
結局、戦うべき相手を二人も失ってしまったギャリソントキタの不戦勝による優勝という、前代未聞の何処かしこりの残るトーナメントとなったのだった。
当然ながらそのような結末で他のレスラー達に示しが付けられるはずもなく、どんな形であれ平定されるはずであったプロレス戦国時代は更に混迷の道を辿る事となる。
既存勢力の分裂、少数勢力の台頭、主要レスラー達の失踪……、プロレス界の混沌は未だ晴れない。
オムライス欲望の失踪の後、新たな盟主『トンガのだがし男』ノイエジールひらめにより新団体『ノイエDC』が設立される。
『ジャケット』と名乗るタッグプロレス、チーム戦を得意とする団体内団体を有す巨大団体である。
続いて『猫なんかにゃ任せられん隊』、『邪悪なるカルシウム』も解体され、所属するレスラー達は続々と新勢力を立ち上げていく。
ガナルカナルぴかちうが再び盟主として設立した、カッパ族を中心に構成される『好きです、きゅうり』……。
ジャッカルこいもからジャッカルの通り名を奪い取った実力派、『長野の稲作救世主』ジャッカルこむぎによるヒールプロレス団体、『ロリコン・ザ・ロリコン』……。
そして、ギャリソントキタが謎の死を遂げた事で、弟の時田忠隆が兄を慕うレスラー達を呼び集めた団体、『義兄弟』を設立する。
このラララプロレスの崩壊から派生するX-TENの独裁プロレス。
決勝戦が不戦勝となる異常なトーナメント。
ギャリソントキタ、オムライス欲望、X-TENなどの主要レスラー達の死や失踪。
それを起因とする新団体の乱立。
それら一連の出来事はレスラー達から『全裸戦役』と呼ばれる事となり、その混迷は十五年が過ぎた現在となっても収拾されてはいない……。
そして、河童歴985年。
混迷しつつも常に動乱の中にあるわけではない日常の中、『ブラックジャケット』PAN ZⅡは新人レスラーとして毎日試合に明け暮れる生活を送っていた。
盟主ノイエジールひらめにも目を掛けられ、少しずつながら確実に戦果を上げていくその日常は突如壊される事となる。
突如出現した謎のレスラー達の襲撃により、『好きです、きゅうり』が壊滅したのである。
謎のレスラー達は『好きです、きゅうり』の残党を取り込み、新たな団体『霊ザーラ門』を設立してプロレス界の支配を宣言する。
その宣言に姿を現した謎のレスラーの正体……、その名を『霊界の支配人』レイモンド・クリスタラー。
霊界の門である『天魔異界門』の門番を務めている霊界の支配人だった。
彼は『天魔異界門』を開いて死んだレスラー達を蘇らせ、その力を利用してプロレス界を支配しようと目論んだのである。
過去の実力派レスラー達の力は絶大であり、現代のレスラー達は成す術もなく敗北し続ける事しか出来なかった。
ノイエDC、ロリコン・ザ・ロリコン、義兄弟、どの団体も疲弊し尽くし、レイモンドに挑む気概も奪い取られていく。
このまま『霊ザーラ門』に世界が支配されるのか、とレスラー達が諦め掛けた時、一人のレスラーが『義兄弟』に降り立った。
本家本元ギャリソンロックβを操るその勇姿……、彼は己の名を『汚れなき老人』死者の復活祭!?と名乗ったのだった……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます