ヨルの輪廻

ニシムラ圭

始まりの夢




時々、夢を見る。


血の匂い、怒号。

痛み、咽び泣く声。



四肢が奮い立つような恐ろしい夢だ。



俺はそのおぞましい景色の中心に立っていて、頭を抱えて情けなく地面に擦り寄っているのだ。


何者かとも言えないような化け物に喰われていく仲間達を目の当たりにして、俺は、夢の中でも……。






『嗚呼、可愛いねェ。

四肢をもがれて泣き叫ぶ人間は。』




声が近づく。




『さァて、卯ノ子はどんな味がするのだろうねェ。』




夢はいつもここで終わる。

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