第12話 イチゴジャムのビスケット
森の入り口に入ろうとしたとき、魔女は「ここでいいです 」と言って馬車から降りて森の中を歩いて進んだ。
それには理由がある。
それはこの森には結界が張られていて、その結界には憤怒と子供以外はあの菓子細工の家にはたどり着けないという条件が盛り込んであるからだ。
歩いているうちに、お菓子の家のクッキーでできた壁が見えてきた。
魔女はお菓子の家を見て怪訝に思う。
あまりにも静かすぎるのだ。
いつもの子供達の楽しげな声が一切してこない。聞こえるのは風に揺れる木々の音。まるでこれじゃあ空き家じゃないかと、魔女はいってもたってもいられず全力で走り、家に着くと、急いで駆け込み、その光景を目の当たりにした。
「っ?! 」
魔女は持っていたクッキーの袋をその場に落としてしまい、目を大きく開いて口を押さえた。
「なん…ですか、これは? 」
床に並ぶは六つの死体。 死体一つ一つに大量の切り傷が残され、全員が恐怖に歪められた顔のまま死んでいる。
壁と棚、机といった家具は血にまみれ、ビスケットの長机には赤黒いいちごのジャムがかかっていた。
「お姉ちゃん、助けて…」
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