第47話 牧区移動(2)

牛の性格もそれぞれで、新しい地元牧区に行きたい好奇心旺盛な牛や今まで慣れ親しんだ牧区を離れたくない保守的な牛もいる。


今日まで、追い込んだりして、地元牧区へ入った牛が59頭。

あと24頭。


そろそろ、全頭移動させないといけないので、危ないが最後の手段。

バケツに入れた配合飼料(エサ)を持って地元牧区の入り口まで歩く。

他の牧番さんからは、「そのやり方は、相当、気をつけなければいけない」と言われていた。

まず、17頭のいくつかの群れが集まった団体の何頭かに配合飼料の匂いを嗅がせ、少し食べさせる。

そして、僕が、先頭となって歩く。牛たちが着いてくる。配合飼料を食べたい為に着いてくるので、後ろから押されたり、囲まれたり、走ってきたり、なかなか恐ろしい。


あと、5頭の群れがいる。

この5頭は、以前から放牧されているし、まぁ、 5頭だからね。

なんなく地元牧区に入ってくれた。


残ったのは、問題の2頭。

4日前に入牧したばかりで、まだ、僕に慣れていない。

ちょっと近付こうものなら、すぐに逃げる。

地元牧区の入り口は今の牧区の奥だが、この2頭は、そもそも奥へは行きたがらない。

怖いんだろうな。

そこで、少しずつ近づきならが、配合飼料を撒き、匂いも嗅がせる。

バケツを地面に置いて、僕は離れて少し食べさせる。

配合飼料を気に入ってくれた様だ。牧区の中を右往左往しながらも地元牧区の入り口に少しずつ近づいていく。


やっと、全頭牧区移動完了。


しかし、急に地元牧区に24頭が入ると皆ウロウロし、自分たちのテリトリーを探し回る。すると今まで入っていた牛たちも自分たちのテリトリーを確保しようと歩き廻る。もう大変です。

最終的に初日に入った4頭が見付かりませんでした。


明日、テリトリー探しが落ち着いていると良いな。

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