秋が来た
勝利だギューちゃん
第1話
立秋は過ぎた。
暦の上では秋。
そう、暦の上では・・・
しかし、暑い。
とてつもなく、暑い。
こう暑いと、体力を奪われていく。
こんなことなら、若い頃、体力の貯金をしておけばよかった・・・
後悔しても、もう遅い・・・
秋よ、遅れるならまだいいが、すっぽかすなんてことはないだろうな・・・
って、文句をいっても、涼しくならんし・・・
動けば体力を消耗する。
なので、休みは寝るに限る。
俺はもう、年寄りなのだ。
そんなわけで、お休み・・・
ウトウト
「ごめーん、遅れた」
いきなりの大声に、飛び起きる。
「ごめん、待った?」
そこには、女の子がいた。
女子高生くらいの・・・
「君は、だれ?」
「私?秋の精」
「秋の?」
「うん」
女の子は頷く。
「秋の精って、JKなのか?」
「ううん、他にもいるよ。子供とか、お年寄りとか、男とか、動物も・・・」
「そうなんだ・・・」
「君は、JK好きでしょ?だから、私が来た」
「それは、どうも・・・」
秋の精は、微笑んでいる。
「でね、遅れた理由なんだけど・・・」
「寝坊とかいわないだろな?」
「違うよ」
「じゃあ、何?」
「それはね?」
「それは?」
時が流れる・・・
「君は、春は好き?」
「花粉症だから、嫌い」
「夏は好き?」
「暑いし、蚊がいるから嫌い」
「冬は好き?」
「寒いから嫌い」
「わがままだね」
「ああ」
なんなんだ?
このやりとり・・・
「私も、そう」
「そうなのか?」
「だから、秋の精になったの」
「選べるのか?」
「うん」
便利な世の中だ・・・
「でも、夏の精がみんな、仕事が好きでね」
「ああ」
「暑くしようと、一生懸命なんだ」
「それで」
「でね。私たちには、なかなか仕事が来ないの・・・」
「で、ようやく来たと・・・」
「うん、だから秋を楽しんでね」
ようやく、この暑さから解放されるのか・・・
「ごめん、スマホがなった」
秋の精は、スマホに出る・
「あっ、神様ですか?はい、こっちは・・・えっ、そうですか・・・はい」
随分と丁寧だな・・・
スマホを切る。
「ごめん、もう新暦だったんだよね?」
いつの話だ?
「旧暦で計算してた」
太陰暦から、太陽暦になったことか・・・
「新暦で9月過ぎたら、また来るから、じゃあね」
行ってしまった・・・
疲れた・・・
寝よう・・・
秋が来た 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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