我が親友へ、貴方に黒百合を贈ります

@barensiaorengi

第0話 プロローグ

私は今日、とても懐かしい物を見つけた。


それは、数年前に亡くなった妻の日記だった。妻が亡くなる数週間前に私がプレゼントしたものだ。妻は毎日毎日記録を残していたようだ。


中を開いてみると、数ページは妻の整った綺麗な字で埋め尽くされ、そこからは私の汚い字が最後のページまで続いていた。


実はこの日記を書いていたのはもう何年も昔のことだ。よく残っていたなぁと思うと同時に、自分の頬から生暖かいものが地面に落ちるのが分かった。


折角見つけたのだからと、私は日記を1ページずつ読んでいくことにした。日記を読んでいくほど昔のことが鮮明に思い出され、懐かしい思い出や悔しい思い出が浮かんでくる。


もう使わない部屋の整理をしていただけなのに、こんなものに出逢えるとは。ついでに見つけた革の鞄やアルバムを日記と共に大きな箱にしまって、部屋の整理を終えた時にはもう夜遅い時間になっていた。

私は寝室へ行き、妻と私と今は亡き親友が写った写真を見る。

「親友……か」少しの懐かしさと後悔を感じたまま眠りについた。

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