あじさい打線は夏に咲く
西野 ひかる
第一話 『ファーストインプレッション』
「……きゃああっ!!」
女子生徒が悲鳴をあげる。新たに高校1年生となった荻野優太が教室の扉を開くと、そこには下着姿の女子生徒の姿があった。
よく見ると中学生くらいの年齢だった。それもざっと2クラス分の人数もいる。
なぜこんな時間に教室で着替えている?なぜ高校に中学生がいる?
優太は開いた扉に手をかけたまま、動きが固まっていた。
目の前の状況が上手く理解出来ない。
優太はあれこれと考えを巡らせた。頭の中は暫しのフリーズ後、下着と同じく真っ白な色に染まった。
自分の置かれている状況をようやく飲み込んだのだ。
途轍もなくまずい状況だった。
優太は神に祈るほどひどく混乱していた。
「どうか5分間だけ時間を戻してください」。
そんなことを考えながら必死で階段を駆け下りた。追いかけてくる者はいない。しかし心做しか優太は宇宙人でも見ているかのような冷たい目線を感じていた。
階段ですれ違う生徒が皆、見た目から判断するに女子中学生だったことに起因するのかもしれない。
優太は1つの可能性を思いついた。自分が間違った場所にいるという可能性だ。実際にこの予想は当たっていた。
ここは紫陽花女子中学校だった。
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