第2話 預かった大切な物

うちの兄貴の名前はニコラ。


僕より三つ年上でスクールの研究練で准教授として働いていて、同じスクールの巨大な敷地の中の寮に入って生活している…


「アニキ!」勢いよくドアを開けた僕…


「おう!来たか!」


「ダイスケ君!こんにちは!」


「こんにちは!」


兄貴の彼女のシズカさん…兄貴と同じ研究室で働いている…いつ見ても大人っぽくて綺麗な人だ…


「研究が完成したって…?」


「ああ…ほら、以前にお前に話してただろ?

バイオツリーシステム…


これで植物や無機質な物に人間や動物のような動きをもたらす事が出来るかもしれないぞ…!!」


兄貴とシズカさんは顔を見合わせて笑った…


「それは…凄いね…!!」


「でもな、このシステムには一つ問題があってな…」


「…問題?」


「ああ…近くに水分があるとそれを媒体として物体と結合してしまうんだ…


いつも俺が管理しているんだけど、学会に出かけなきゃいけなくって…金庫に入れるにしてもここは人の出入りが多くてな、何かあったら危ないし…


そこで、だ…一日でいいから、お前、預かってくれないか…?」


「ええっ!僕が?そんな…何かあったらどうするんだよ…」


「大丈夫…防水機能が付いたトランクに入れて渡すから部屋に置いといてくれるだけでいいんだ…


頼むよ…この通り!!」



…仕方なく僕は兄貴のバイオ…何だっけ…

という代物を預かって帰ることになった…



部屋に帰った僕は荷物を置いて今日買ったフィギュアを組み立てることにした…


最新の等身大AI付きフィギュア…ユニット関節で好きなポーズが決めれて、プログラムすれば思い通りに動かせる。


そしてAI知能が搭載されていて言語もある程度なら話すことが出来る…


付属の服も着せる事が出来てまるで普通の女の子のようだ…高かったけどやはり買って良かった…

一人暮らしの僕には丁度良い同居人となってくれるだろう…


「これからよろしくお願いします。」僕は作りかけのフィギュアに向かって話しかけた…


僕は丁寧に夜更けまでかかって組み立てたのでベッドにも入らずにそのまま床に寝そべって休んでしまった。


トゥルットゥルットゥルッ…


ブレスフォンのコール音で目が覚めた僕は

画面を見た…時間は…まだ真夜中だ…


相手はシズカさんからだった…


僕は通話をオンに入れた…


「はい!どうしたんですか?こんな遅くに…シズカさん?」


…しかし電話の向こうのシズカさんからは何も返事は無く…ただ何故かすすり泣く声が聞こえるように思えた…


「シズカさん!!どうしたんですか?…シズカさん!!」




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