フィギュアな彼女

奏 隼人

第1話 大っきなフィギュア

ピピピピピピ…目覚ましのアラームが鳴り響く…


「ふぁーあ…もうこんな時間か…そろそろ出かけないと…」


僕はトーストを頬張りながら腕輪電話ブレスフォンの画面を眺めた…


交差点の信号を渡った所にあるコンビニエンスストアに頼んでおいたフィギュアが入荷したらしい…


独り暮らしの僕に留守の間、荷物が送られてもまた持って帰られるのがオチなのでこちらから取りに行くことにした。


僕?…僕はダイスケ。


地球人のご先祖の名前になぞらえて親が付けてくれた名前らしい。


はるか昔、僕達の先祖はここ、アルタイルに移住した地球人と少し離れた星…ヴェガの人々と交流を持って、さらに近くの星、デネブにも移住して今ではこの三つの星はそれぞれが違う文化を持ちながら様々な交流をしてそこそこ仲良くやっている…のではないだろうか?


まあ一介の学生の僕がそんな偉そうな事を言える立場でもないけどね…


この星のスクールは6歳からお年寄りになるまで何歳になるまででも通う事が出来る…


そして自分が仕事がしたくなった時に卒業したり、結婚したくなったらスクールで学びながらする人もいるようだが… 僕には残念ながらそんな相手もいない。


とりあえず17歳の僕にはまだまだ勉強しないといけない事が沢山ある…


スクールはネット学習で全てのカリキュラムが習得出来るのだが、必須のサークル活動だけは学校まで出向かないといけない…


先月まで入っていたボルダリングのサークル活動は特にやりたかった事でもないのですぐに辞めちゃったしなぁ…


そんな事を考えていると目の前の信号が変わった…コンビニに入った僕はカウンター越しに店員さんからフィギュアを受け取ろうとして焦った…


フィギュアの箱の大きさは思っていたよりもかなり大きくて高さが僕の背丈位あった…


「あの…後で返しに来るんで、 台車…貸してもらえますか?」



…僕は自分の部屋でフィギュアの箱と睨めっこしていた…


「ふぅ…まさかこんな大きなのとは思わなかったなぁ…」


その時、僕のブレスフォンが震えた…


「…兄貴?」


僕はブレスフォンを伸ばして通話した…


「もしもし…どうしたの?」


「研究してた物が遂に完成したんだよ…


ダイスケ…見に来ないか?」

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