第29話 観音様とのび太

聖ミカエル像は観音像のすぐ近くに設置されているため、ミカエル君のお隣さんは観音様だ。

観音様は穏やかで優しい性格の女性でミカエル君の大好きな隣人だ。


「観音様は昔のことを覚えていないの?」

「そうなの。人間たちが研究してくれているのだけど、いろいろな説があるみたい」


ゾロアスター教との関連や、インド土着の女神との関連など、いろいろな学説があるようだが、観音様は細かいことは気にしていないようだ。


「どちらにしても、人間たちがとても大切に思ってくれたのは間違いないもの。嬉しいわよねえ」

「そうだね!僕もいつ、どんな理由で本体から分裂して、いつからモン・サン=ミッシェルで人間たちを見守っていたのか覚えていないんだ。本体に聞いたら、本体も覚えていないって!」

「そうなんだ!」

「鳥居ちゃんは、まだ赤ちゃんだね!」

「うん!」


「チャイのお代わりはどう?」

「ありがとう!いただきます!」

鳥居ちゃんの尻尾がブンブン回る。


「僕もください!観音様のチャイ、とっても美味しいね」

インド出身の観音様が淹れるチャイは真似できない美味しさだ。特別に取り寄せた茶葉に特濃牛乳と砂糖とスパイス。


「のびちゃんが小まめに発注して届けてくれるの。熟成させた方が良いものもあるけど新鮮な方が美味しいものもあるのよね」


茶葉やミルクなどの調達は、のび太の担当だ。

メタボ先輩からの評価はしょっぱかったが観音様からの評価は高い。


―― 頑張れ!のび太。

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