本編
第1話プロローグ
頭が痛い、気分もあまり良くない。体が動こうとしない。息苦しい。知らない甘い香りがする。
どうにかして目をうっすら開けることができた。
そこには見覚えのない白とピンクの部屋が鮮やかに広がっている。
ここは、どこだ。少なくとも俺の部屋でもないし家でもない。そして知り合いの家……でも、ないと思う。可愛いクローゼットと、タンス、あとテレビ台のようなものがある。
部屋を見渡しているうちに少しづつ意識がハッキリしてきた。まず体を起こす。体を縄で縛られる、というテンプレのようなことはなかったようだ。次に歩こうとしたが、足に付けられた鎖が邪魔で歩くことが出来ない。ここでようやく俺を拘束するものが出てきた。
立ち上がることはできるが歩けない。もちろん力ずくで引きちぎることもできない。
部屋を探索することは諦めてもう一度ベットに体を預ける。
おぉ、柔らかい。よく沈む。これが
掛け布団こそないがそれがあれば深い眠りに着くことができる気がする。
なんせ、俺が住んでいる場所は布団がないから、床で寝ることになる。これを除けば、中学の修学旅行で行ったホテルが1番だったが、たった今記録が更新された。
とにかく今の状況で分かることは、どこがで俺が倒れて家で介護してくれている訳ではなく、恐らくだが監禁ということになるのだと思う。
まぁ、少なくとも俺の家よりは住み心地がいい。
ここでようやく気づいたことがある。
木ではなく、鉄製の扉にさらにパスワード性の施錠がかかった扉の近くにカメラがある。スーパで見かけるようなものだから、多分監視カメラ。
俺はそこに向かって手を振る。
「あのー、俺起きたんでとりあえずここから出してくれませんかね?もしくは家主さん出てきてくださいよ」
当たり前だが、カメラからの反応はない。
だがすぐに、パスワードが解除された音が部屋に響いた。
「おはよう、それともこんにちはかしら。もしくははじめまして?」
そこには、綺麗すぎるほど整った顔と、黒髪を背中まで伸ばした綺麗な女の子が現れた。
雰囲気はクールだと思う。手が届きそうで届かないような感じ。
これが俺が監禁されて初めての顔合わせだった。
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