UNKNOWN
中城十六夜
第1戦記
この世界は我々生物を何処へ誘おうとしているのだろうか。
前提として『国』とは何だ?
誰の所有物と捉えるべきなのだろうか。
曖昧な概念のもと戦いを繰り広げ、土地や資源を巡って生活水準の向上や武力を他国に示す為に略奪を行なってきた恥ずべき事実であり、正義でもあるこの事実を如何様にして後世へ引き継ぐべきなのだろう。
欲深い人間の過ちを正す熱く燃え盛る鉄槌はいつ下されるというのだ。
気付くべき事実に誰も目を向けようとしない。その繰り返しこそが次の火種を生み出しているに違いない。
いつか【ほしのかぎ】が織り成す世界に欲深き我々が魅了されない事を願うばかりだ。
遥か昔に、ある哲学者が唱えたとされる歴史書の一部を抜粋して口ずさむ。だが、未だ火種は消え去っていない。
平和を求めようとも、その平和のために戦を引き起こし、自国を守るために再び戦を引き起こし、終わりのないトンネルを次々に掘り進めていく。
有限と無限を理解してほしいものだ。
平和は壊される。
これまでの歴史が証明している不変的事実の1つだ。
同種族の手によって平和は崩され、その暴落は誰にも止めることは出来ない。
何故なら、国の上層部が湯水の如く湧き出ると考える他人(ひと)の『命』が戦には使われているからだ。
命を賭ける。
言葉遊びで使うような可愛いモノなどでは決してない。
言葉の重みを軽んじた英雄気取りの先人や同期は本部配属に名乗りを上げ、本部配属となった暁には我が国家に繁栄と不滅を齎(もたら)すべく命を賭(と)して臨むなどと空っぽの志で意気込んでいたことは記憶に新しい。
命がナニモノであるのか考えようとせず、自らに宿った姿無き『コア』を国の為に提供し、更には戦争という大義名分を翳(かざ)された中で、まるで国の所有物が如く利用される理不尽さが私には少しも理解できない。
過去も未来も、そして今を生きている人々の中で老而不衰(ろうじふすい)ならぬ平和不衰な世の中を少しでも想像できた人間は恐らくいないだろう。
その理由は単純明快である。
これ程の時を経ても尚、不滅の平和はたったの一度も訪れた事がないからだ。
もしこの妄想を実現した暁には後世に残る程の偉業である事は火を見るよりも明らかな誉れであろうが、果たしてその妄想世界に貢献した人々は存在しているのだろうか。
答えるまでもない、それは無意味な努力だ。
繰り返される歴史の過ち。
自らの五感を以ってして感じ取れない平和など無価値な産物である。
その産物は何処に残る。
国か、人の心か、紙か。
安全な地帯で踏ん反り返り、子供にもできる命令をまるで一世一代の大仕事と言わんばかりに声高々に発するだけの国上層部が我が物顔でその地を歩き続ける。
そんな彼らの名は語り継がれど、その前に散った者たちはどこへゆく。
何をしようにも全ては上の人間の産物として置き換わる。
「不愉快だ」
私はワタシという姿ある存在を守り、消さない為に何処までも足掻いてみせよう。
泥臭く笑われようと、後ろ指をさされようと、利用できるものはどんなものでも利用せねばなるまい
それが例え、国を裏切ることになろうともーー。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます