戦神の加護は辞退します。 最強の軍人にも暗殺者にもなりたくないのです!

@Da1kichi

第1話 成人の儀式

「今年成人された皆さん、神殿へようこそ。これから皆さんに成人の儀式を受けていただきます。この成人の儀式で皆さんはパートナーとなる精霊と縁を結ぶことになります」


「精霊とは死ぬまで一緒に過ごします。パートナーとなった精霊と力を合わせてより良い人生を過ごされるよう祈っております。それでは右側からお一人ずつ祭壇の前へ進み出てください」


 成人の儀式でパートナーとなる精霊を得ると大人の仲間入りだ。その精霊の持つ特別な力を利用して、自分だけにしかできない仕事で独り立ちし、糧を得るのだ。


 植物栽培に特化した精霊を得たなら農業の道に進み、鍛冶や火魔法に特化した力を持つドワーフ型精霊を得たら鍛冶屋に、鑑定能力なら小売業などの商人、料理スキルなら料理人になる。


 稀に適正に合わない精霊と縁を結ぶことがある。その場合、神殿に届け出て適正に合わない精霊持ち同士で同意できれば縁を結び直すらしい。滅多にあることではないため詳しく知る人はいない。



「次の方! 風花さん、祭壇の前へどうぞ」

「はいっ!」

 植物魔法の精霊とか醸造魔法の精霊がいいな…などと想像していたら名前を呼ばれ、慌てて祭壇の前に進みでる。


「そこで跪いて、手を合わせて祈りを捧げてください」

指示された通りに跪き手を合わせると、目の前に異空間が広がった。


そこには人型や動物型、様々な姿をした精霊たちが風花の様子をうかがっている。


うわあ…あの人型の精霊さん、すごい美人!あ、あっちの精霊さんも美形!

興奮してきょろきょろしていると、何かが膝に触れた。


視線を膝に落としてみると小さな豆柴が風花の膝に前脚を置いて、ハッハハッハ言いながら風花を見上げていた。


「か! かわいいー!!!」

思わず豆柴を抱き上げた瞬間、音声が響いた。


『ご縁が結ばれました。これにて成人の儀式を終了します』


あ、あれ?抱き上げちゃいけなかった?どんな力を持っているのかも確認せずに結ばれちゃった…。

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