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 ……歩こう。

 その瞬間、確かに木の葉はそう思った。

 どんなに時間がかかってもいいから、歩いて、歩いて、そして、あの星の下まで行こう。木の葉はそう決心をした。それは道無き道を歩く孤独な宇宙への旅だった。木の葉の足元に道路はない。橙色の煉瓦造りの道も、みんなで歩いた土色の道も、バスが走るための道もなかった。あるのは緑色の芝生だけ。木の葉はその芝生の上を歩いて、一直線に自分の星に向かって歩み続けた。

 一歩、二歩、三歩。

 そうやって足を交互に出すたびに木の葉は確実に星に近づいていった。……木の葉は感動で、歩きながら自分の体が震えていることが理解できた。今にも、歩きながらなにかの幸せな歌を歌い出したいくらいだった。 


 小の花は、ちゃんとお父さんとお母さんに会えたかな?

 小さな鉢植えから顔を出す緑色の芽を見ながら、木の葉はそんなことを考えた。

 お父さんとお母さんにちゃんと会えて、家族みんなで楽しそうに笑ったりしているのかな? さっきみたいに元気に家の中を走り回っているのかな? そして今頃は、この明るい奇跡のような夜の下で、ぐっすりとした、優しい、安心のできる眠りの中にいるのかな?


 ……小の花は今、幸せなのかな?

 木の葉はそんなことを思いながら歩き続けた。

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