26
……思い出したから、木の葉はすぐに星を探し始めた。無数の星の中から木の葉は、木の葉だけのために輝いている星を探し出さなければならないのだ。……それはどんな星だろう? 名前も形も場所も、木の葉にはなにもわからなかった。けれども木の葉は木の葉の星を探し出さなければならないのだ。
木の葉は両目を凝らして夜空を見上げた。数億、数十億という数の星がそこにはあった。
その中のどれが自分の星だろう?
僕の意識は、僕の直感は、僕の星をちゃんと見つけ出すことができるのだろうか?
木の葉は懸命に星を探した。
でも、それは簡単には見つからなかった。満天の夜空に輝く幾億、数十億の星は、そのどれもがとても美しく輝いていて、そのどれもが同じ光に木の葉には見えた。とてもこの星空のどこかに自分だけの特別な星があるとは思えなかった。
でも、それでも木の葉は自分の星を探し続けた。時間は十分にあったし、真夜中だというのに、周囲に吹く風も暖かく、なによりも十分な睡眠をとったことから木の葉の頭はすっきりしていた。それはつまり木の葉の体調は万全だということだ。星もそのすべてが夜空に出て輝いている。雲もない。雨も降らない。星と木の葉との間には、遮るものがなにもないのだ。
こんな好条件の中でも、自分の星を見つけられないのだとしたら、それはきっと一生、僕は自分の星を見つけられないということだ、とそんなことを木の葉は思った。
だから木の葉は懸命に僕の星を探した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます