第51話 みんなでギャルゲー(後編)

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マサシ『自動車工場見学開始後、俺とヒロインはまずエンジン組立て作業の見学をすることになった』


ヒロイン『うわぁー、エンジンってこういう風に組み立てられてるんだー! すごーい!』


案内員『組立ては全部機械でやっていると思い込んでいる人が結構いるみたいですけど実はエンジンの組立てって基本的に手作業で行われているんですよー』


マサシ(なんかもう飽きてきた。工場見学ってクソつまんねえな...)

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亮「元々工場見学を提案したのはお前だろ! 勝手に飽きてんじゃねえよ!」


リン「オイ田島、予想以上にこのゲームつまんないアル」


亮「だから始める前に散々忠告しといたんですけどね...」



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マサシ『マスクと保護メガネのせいでヒロインの顔はよく見えないが、彼女はエンジンに夢中で俺のことなんて眼中にないようだ。俺への関心が車のエンジン以下なんてことは俺のプライドが許さねえ。ここは1つカッコイイセリフを吐いてヒロインを振り向かせてやる』

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亮「ライバルが車のエンジンかよ...マサシ君小者過ぎるだろ...」


瀬奈「あ、リンが寝ちゃったのであります」


亮「寝ちゃうほどつまらなかったんだろうな...まあ実際クソみたいなストーリーだし...」



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マサシ『どんなセリフならヒロインが振り向いてくれるかな?』

①【実は俺ってエンジンより馬力があるんだぜ】 ②【実は俺エンジンの組立てできるんだよね】

③【実はエンジン発明したのって俺なんだよね】

④【多分エンジンの代わりに俺を車に組み込んでも車動くよ】

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亮「どれ選んでも同じな気がするんだが...つーか全部嘘だろこれ...」


アリス「③は確実に嘘ね。だって今最も車に使われてるタイプのエンジンを発明したのはニコラス・アウグスト・オットーだもの」


亮「アリス先輩はなんでそんなこと知ってるんですか...」


アリス「え? こんなの常識じゃない?」


亮「そんな常識があってたまるか!!」


瀬奈「結局どれ選びます?」


亮「もう適当でいいんじゃないかな」


リン「あ、選択肢出てるアル。それポチッとな」


亮「え、リンさんさっきまで寝てなかったっけ...ていうか今選択肢選んだ!?」


リン「じゃあおやすみアル」


亮「いや、また寝るのかよ!」


アリス「どうやらリンちゃんは③を選んだみたいね」



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マサシ『なあなあヒロイン! 実はエンジン発明したのって俺なんだよ!』


ヒロイン『え? マサシ君いきなり何言ってるの? エンジンの発明者はニコラス・アウグスト・オットーだよ? こんなの常識でしょ? なんでいきなりそんな嘘ついたの?』

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アリス「ほら、やっぱりさっき私が言ったことは常識だったじゃない」


亮「常識とは(哲学)」



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マサシ『い、いや別に俺はお前を騙すつもりはなかったんだよ...』


ヒロイン『うふふ、そんなの分かってるわ。どうせ私の気を引くためにそんなこと言ったんでしょ? マサシ君って意外とかまってちゃんなのね。でもそんなところも大好きよ』


〈ヒロインの好感度が限界を突破した〉

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亮「ヒロインさん安定のチョロさだな...」


アリス「まるで私みたいね」


亮「リアクションに困るからそういうこと言うのやめてもらえません!?」



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マサシ『その後、工場見学を終えた俺とヒロインは俺の祖父が開いている陶芸教室に向かった。久々の陶芸だ。腕が鳴るぜ』

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亮「ここでまさかの陶芸タイム!?」


瀬奈「ついにこの時が来たのであります! 待ちわびていたのであります!」



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マサシの祖父『久しぶりじゃな、マサシ。まさかお前さんが彼女を連れてワシの陶芸教室に来るとは思わなかったわい』


マサシ『はは、デートのついでに爺さんの顔を見に来ただけさ。今日はよろしく頼むぜ』


ヒロイン(私なんで陶芸することになってんのよ...)

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亮「お前ヒロインの同意無しで陶芸教室に来たのかよ...」


リン「这个真地枯燥的游戏...」


亮「うわ! ビックリした! え、なに今の!? 寝言!?」


瀬奈「あー、リンは時々中国語で寝言を言うのであります。ちなみにリンはさっき中国語で『これマジでクソゲーだった』と言っていたのであります』


亮「へ、へぇー。そうなんだ...」


亮(相川さんはなんで中国語が分かるんだよ...)



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マサシの祖父『マサシよ。お前陶芸は久しぶりじゃろ? 陶芸の手順のうち最初にすることは何か覚えておるか?』


マサシ『えーっと、最初にやることは...』

①前業

②前技

③前試

④前防

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亮「もうこれただのクイズじゃねえか! 選択肢設ける意味無いだろ!」


瀬奈「こんなの楽勝であります。答えは①であります」


亮「さ、さすがだな相川さん...」



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マサシ『前業だな』


マサシの祖父『正解じゃ! さすがマサシじゃな!』


〈祖父の好感度が上がった〉

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亮「ジジイも攻略対象なのかよ!! このゲームの製作者頭おかしいだろ!」


アリス「うわぁ、さすがにこれはドン引きだわ...」


亮(おい、アリス先輩が引くって相当なことだぞ...)



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マサシ『その後陶芸を始めようとしたが、なんとなく爺さんが俺に向けている視線が気持ち悪かったので俺はヒロインを連れて陶芸教室から逃げ出した。今後爺さんに会うのはやめておこう』


ヒロイン『じゃあ外も暗くなってきたしそろそろ帰ろうか』


マサシ『えぇ...ホテル行きたかったな...』


マサシ(そうだね! そろそろ帰ろうか! じゃあまた明日!)

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亮「おいマサシ逆だ! セリフと心の声が逆になってるぞ!」


アリス「まあ今さらセリフと心の声が逆になったところで大きな変化はなさそうだけどね」


亮(うわ、珍しくアリス先輩のテンションが下がってる...このゲームある意味すごいな...)



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ヒロイン『ホテル...?』


マサシ『あ、いや! 『火照ってる』って言ったんだよ! いやー、暑いなー!』


ヒロイン『あんまり意味はわからないけどまあいいや。じゃあバイバイ、マサシ君!』


マサシ『おう! また明日な!』


マサシ『こうして俺の初デートは終わった』

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亮「火照ってるは無理があるだろ...つーかいつのまにかアリス先輩と相川さんも寝てるし...もうこのゲームやめようかな...」



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マサシ『初デートから5年後、俺とヒロインは結婚することになった。今日は結婚式の日だ。いやー、緊張するなー』

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亮「いくらなんでも展開が早すぎるだろ! もうゲームの終盤かよ! まだプレイし始めて1時間くらいしか経ってないぞ!」



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ヒロイン『マサシ君、5年間私だけを愛してくれてありがとう。本当に感謝してるわ』


マサシ『俺もヒロインには感謝してるよ。お前には5年間で30回くらい浮気されて正直殺したくなった時もあった。でも俺はお前をずっと好きでいて良かったと思う』

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亮「ここでヒロインのビッチ設定が出てくるのか...つーかマサシはなんで別れようとしなかったんだよ...」



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ヒロイン『なんでマサシ君は浮気ばかりの私を愛してくれたの?』


マサシ『そんなの決まってるだろ。スケベなことさせてくれる女がお前だけだったからだ』


ヒロイン『マサシ君...!』


マサシ『なあヒロイン』


ヒロイン『なあに? マサシ君』


マサシ『これからも死ぬまでずっとスケベさせてくれ』


ヒロイン『...うん! もちろんだよ!』



『らぶ☆らぶハーレム生活』〜Fin〜

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亮「......は!? これで終わり!? なんだそれ! こんな最低な終わり方見たことねぇぞ!」


アリス「ふわぁ...おはようダーリン。あ、もうそのゲーム終わったみたいね。どうだった? 一応最後までプレイした感想を聞かせてくれない?」


亮「え、感想ですか? 一言しか思いつかないんですけどそれでもいいですか?」


アリス「まあそれでもいいわよ。聞かせて」


亮「分かりました」


アリス「はい、それでは感想をどうぞ」





亮「まごうことなきクソゲーでした」


「みんなでギャルゲー編」 ー完-




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