特異な生い立ち、それでもどうにか生きてみた!
まきお
第1話 毒を見る子供~特異な生い立ちがもたらした、性格の変転~
少しだけ暗い話になってしまう事を許して欲しい。
我が家(私)の基礎を伝える為には書くしかないのだ。
私は毒親の元で20年ほど人生を過ごした。
正確には
母は私を全力で庇ってくれたが、欲を言えば子供の精神(心)へ深めの傷がつく前に、さっさと離婚をして欲しかった。
誤解しないで欲しいのだが、別に不幸自慢をしたいワケではない。
生まれる環境の選択は不可能――そこを悔やんでも意味はない。
現状を早めに受け入れた私は幼い頃からベストを尽くし、成人まで生き抜いた。そんな自分が誇らしいとさえ思っている。
ただこんな私でも多少はトラウマを抱えている(思い出したくないこともある)ので、パンチの
それは私が11歳の時に起きた出来事だ。
とは言っても、実は年齢を正確には覚えていない……。
「忘れたい」と言う思いが常にあるからだろうか?
ただし残念ながら覚えが薄いのはここまでで、後は鮮明に記憶している――。
とある平日の夜中、両親の喧嘩が始まった。
「てめえ、コ◯すぞっっ!」
お決まりの台詞。
団地中に響き渡る大きさで威嚇をする父の声を、私は子供部屋のベッドで布団にくるまりながら静かに聞いていた。
ただ今日は何か様子が違う……。
両親の姿は見えないが、口調から私(子供)にもそれは伝わった。
全神経を耳に集中させてから数分、直ぐに違和感の謎が解ける。
母が更なる反発をしていたのだ。
いつもの彼女なら威嚇に怯えて黙るのだが、流石に我慢が限界に達したのだろう。
しかし彼女のド正論は父のプライドを傷付け、着火材のごとくその怒りに火を着けた。
「ドンッッッ!」
低くて少し鈍い音が子供部屋にも響く。
そこから暫し、気味の悪い静寂が続いた――。
『行かなければ……』
意を決して、子供部屋の襖を開ける。
目の前で「ごめんね」と言いながら、崩れる様に座り込む母……彼女は白いタオルで自分の頭部を押さえていた。
タオルに大量の血が滲んでいるのを見た私はそのままフリーズ。
ガラス製の灰皿が転がっている横で、父はただ黙って立ち尽くしていた――。
終わり
この後の母は、近くに住んでいた親戚を電話で呼び出して病院に送ってもらい、頭を数針縫っただけで命に別状はなかった。
一方の私は家に残りベットの中でひたすら泣いていたのだが、なぜかその横で目撃者でもある我が子(私)の手を、父が震えながら握っていた。
普通このシチュエーションで、子供の手を握るか?
まだ小学生の私が、泣きながら理解に苦しんだのを今でも覚えている。
この他にも虐待だの、ク◯リだの、異母兄弟だの、ぶっ飛んだ内容の話は幾つもあるのだが、その中でも後からツッコミを入れたくなったのが、この芝居がかったエピソードだった。
「昭和のドラマかよっっ!」
ちなみに現在は両親の離婚が成立し、母も幸せに暮らしている。
良かった、良かった。
次回は毒父がやらかした明るい話を書こうと思う。
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