そして僕は君をフィクションにする

機乃遙

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 日に焼けて色褪せたノートには、やせ細った文字が雑草のように並んでいた。

 それを撫でつけるように指先で触れると、インクの匂いが空間へ広がった。人差し指に濃紺のにじみを残して。

「これはフィクションか、現実か」

 僕は指についたインキに向けて、そして自分自身に向けて問いかける。

 このノートは、このフィクションは、このリアルは、これを書いた彼女は、どこにあるのかと。

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