愛してる、平凡。

@minori1208

第1章.入学式(1)

 4月の朝。

「早く起きなさい!今日入学式でしょ!」

 母親の怒鳴り声で日高小梅は目を覚ました。

「あとちょっとだけ…」

 そう言いながらスマホの電源つけて時刻を確認する。

「7時30分か…。……って、7時30分!?」

 ドタドタと勢いよく1階へ階段を駆け下りてきた小梅は、今日から高校生になる。

「もうなんでもっと早く起こしてくれなかったの!」

「起こしたわよ!あんたが起きないのがわるいんでしょ!」

 小梅と母親の朝のこのやり取りは、中学の時も日常茶飯事だった。しかし、いつもならもっと言い返すところなのだが、今、小梅にはそんな余裕がなかった。

 なにしろ、新入生は7時50分までに受付で名簿チェックをしなければならないのだ。

小梅の家から新しい学校までは、最低でも15分以上はかかる。そう、小梅には『遅刻』の2文字しかあたまになかった。

 高速で身支度をすませた小梅は、15分以上かかる通学路を、全力で走りながら学校を目指す。

 __ここから、日高小梅の長い高校生活が始まる。

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