第133話【混乱と幻覚?】


 「最近、何か楽しそうだな。お前」


 「.......。」


 い、いきなり何だ......。


 「何だよ。無視かよ......。」


 「い、いや、何だ。別に普通だけど。」

 で、本当に何なんだ.....。


 お前が俺に話しかけてくるなんて......。


 今、俺が座る机の前に唐突に現れたのは榊タカ。

 そう。あの榊だ......。


 田中くんがいなくなったと思ったら今度はまたやっかいな奴が......


 でも見る限り、敵意のある顔とかをしているわけでもないし、ニヤニヤと俺をバカにしてくるような顔をしているわけでもない。

 しかし、だからと言って機嫌が良さそうな顔をしているわけでもない。

 なんだその表情は.....。


 どちらかというと、ちょっと不貞腐れた感じか?

 

 「.......。」


 どちらにしても、またお得意の嫌なことでも言ってくるのか?

 最近はやけに大人しいと思ってたけど、マジで何なんだ。

 本当に久しぶりに絡まれた気がする。

 いや、ここまで直接的なのは初めてかもしれない.......。


 「........。」


 でも正直、気味が悪すぎる。

 本当に何だ。

 いきなりすぎる......。

 

 「そ、そうか。普通か......。」

 「まぁ........。」



 「「.........。」」



 い、いや、マジで何だ......。

 お、終わり?


 「さっき購買で買ったんだけどよ。やっぱりいらねぇからお前にやるよ。これ。」

 「.......。」


 そう言って榊が俺の机に置いてきたのは、俺は食べたことがないけど皆がよく食べているお菓子。


 ヤングドーナツ。


 「え.......。」


 何で。


 「あと、これもやる。」


 紙パックコーヒー......


 「な、何で......。」

 「だからいらねぇんだよ。買ったけど気分が変わったっていうかよ。くっ.....とりあえず黙ってもらっとけや。いらねぇんだから。う、美味いからよ。」


 「........。」

 どっからどう見ても新品。未開封だよ......な。


 へ?

 ど、毒とか入ってんのか。

 本当に意味がわからない。

 

 「んじゃあな。」

 「え、いや、おい。」


 って、榊もそのまままた教室の外に.......。


 え?

 

 本当に何?

 いや、本当に恐い。


 ドーナツにコーヒー。

 まぁ普通に美味しい組み合わせ。


 でも、それを何で榊が......。


 ま、周りも何が起こったみたいな顔でこちらを見ている様。

 いや、俺が聞きたい。


 え、でも本当に何で......。


 「.......。」


 意味がわからなさすぎて頭が混乱してきた。


 「アリス......いる? ドーナツ。」


 「え!いいデスか?」


 今回の彼女は俺の問いかけに目を逸らさない様。

 まぁドーナツ好きだもんな。アリス。


 別に毒とかが入ってないのはさすがにわかっているけど。

 やっぱり何か個人的には恐くて無理。 

  

 そして気がつけば隣には、もう美味しそうにドーナツを頬張るアリス。

 何か機嫌もいつのまにか元に戻っているみたい。


 いつもの様にニコニコとして足をパタパタさせている。


 「.......。」


 でも本当に何なんだ。


 恐い。恐すぎる......。

 マジで意味がわからない.......  


 何か、とりあえず色々ありすぎて真剣に頭が混乱している感じがする。


 「げ、幻覚?」


 

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