第131話【不穏に動く影(モブ)】


 うおっし! 何でかよくわからないけど。

 予想外にすんなりと、間宮くんの協力が決まったぞ。


 イェイ!イェイ!イェイ!


 もっとごねられると思って色々と対策は立ててたんだけど全て杞憂だったみたい。 

 うん。


 とりあえず最高っ!


 あと、これからyoutuberの活動を再開する予定とさっきは言ったけど、実は昨日の時点でもう再開自体はしている。

 そう。僕は昨日、簡単な再開周知動画をあげてみた。

 

 えーと、うん。1日経って視聴回数3回。


 知ってる。


 ただ、何故か1つだけコメント......。


 『クソ底辺youtuber  誰も待ってねぇからすぐ消えろ』


 な、何でこの視聴回数で既にアンチが沸いているんだ......。


 「.......。」


 後でアカウントから色々と辿ってぶっ潰してやる。

 twitterとか荒らしに荒しまくってやるからな。ほんとにもう。


 でも、まぁ僕はもう最強のカードを手に入れたんだ。

 数カ月後には必ず、この復活した「オッす田中ちゃんねる パワーup」を、そしてこの僕の名を全国へと轟かせてやる。

 必ず。


 ______とコラボをする為に。


 ふっ、つまり間宮くんの右腕としてそろそろ僕も本気を出す時が来たということだ。

 

 そして勝負は文化祭.......。

 このタイミングを逃す手はない。

 僕が逃すわけがない。


 メイド喫茶もメインはメインだが俺達のスーパーメインはその後の有志発表の時間。そこで勝負をかける。


 「おい、どうだった? 頼本。」

 「お、おう。一応受理はしてもらったけど。本当に大丈夫なのか?」

 「あぁ、間宮くんは僕が何とか説得する。だから君はギターの腕をさらに磨くことに専念しろ。将来的にギタリストとして有名になりたいんだろ?僕の動画は必ずバスらせる。後は君の腕しだいだ。」


 まぁ頼本は顔も悪くないし、それなりに何でもこなす。ギターの旨さの良し悪しなんて僕にはわからないがおそらくそれなりには出来るのだろう。とりあえずこの僕の右腕として使えるだけ使ってやる。感謝しろ。

 僕の意思は間宮くんの意思だ。感謝しろ。


 「あ、あと、まぁ間宮がボーカルっていうのはわかるけどよ、このバンド名【オッす田中バンド】っていうのは、ど、どうにかならないのかよ?それに田中、本当に大丈夫なのか? お前の動画......視聴回数少なすぎないか?」


 「頼本よ。以前に3人で行ったカラオケでお前は、間宮くんのあの神がかった素晴らしき歌声を聞かなかったのか?」


 本当に間宮くんに神から全てを与えられた男。

 何だあの色気のある歌声。男である僕まで逝きかけたぞ。

 上手すぎるだろ......。ほんとチート人間だ。


 「い、いやだからそれはわかってるんだって。だからバンド名と動画の視聴回数をどうにかした方がいいと思うんだって。それにお前、ドラム本当にできるのか......?」


 「おい、頼本。僕を誰だと思っている。僕の言うことを聞いておけば全てがうまく行く。君は黙ってついて来い。いい夢見せてやる。」


 本当に良い夢をな.......。


 ただ、とにかくバンド名は変えられない。というか変えさせない。

 オッす田中ちゃんねるのボスはこの僕だ。こいつ自分が有名になりたいがだけに【オッす頼本バンド】にしようとしてやがるな。

 誰が許可するか。ふざけるな。頼本の分際で........。


 あと、ドラムはできない。まぁそこはまた考える。

 

 「くっ......わかったよ。」


 とりあえず後は間宮くんを説得させるだけ。

 まぁ今回は素の間宮くんにお願いするんだ。いつもより交渉はイージー.....なはず。


 ふっ、あっちの超絶イケメン間宮くんに登場してもらってもいいけど、万が一学校が特定されて大変なことになって彼が転校しないといけない事態になったりしたら最悪だからな。

 僕には卒業、いやこれからもずっと間宮くんの行く末を見守る使命がある。

 絶対に今、離れるわけにはいかないんだ。親友として。


 そこは慎重に行かせてもらう。

 僕もバカではない。バカでは。


 うん。バカではない......。


 でも、そう考えたら素のいつもの地味な方の間宮くんも有名になる可能性が出てくるのか.......。


 どっちの間宮くんも......。

 

 「ふふふふふっ、これは面白いことになるぞ。良い。良いぞ。」


 「な、何をまた1人で笑っているんだよ。田中。」

 「ん? まぁいずれわかるさ。君もね。とりあえず今日はもう行っていいよ。」


 うん。とにかく君はギターの練習に明け暮れろ。頼本。

 あと、間宮くんには一体何の曲をカバーさせようか?


 今流行りのKing Mnuキング・ムーの曲とかはどうだろうか?

 いや、逆に女性の曲とかもありかもしれないな。あの大人気アニメの曲とか。


 んー、どうするか。

 選択支が多すぎて逆に迷う。


 まぁそこもまた考えるとして、文化祭で僕たち3人のバンド動画を最強にバズらせるにはある程度の下地はあらかじめに作っておかないとな。

 つまりできるだけ動画登録者数を先に増やせるだけ増やしておく。

 まずは間宮くん抜きで。


 よし、さっそく計画を実行にうつしていくか。


 目指せ。_____ちゃんとのコラボで完膚なきまでに踏まれよう企画のな。

 

 「へへっ」


 まずは.......。


 「あ、ちょっといいかな。アリスちゃん。」


 彼女から行くか。


 「ん? な、なんですカ? たなかくん。」


 ふっ、まぁ彼女もわかりやすいからな。



 「ねぇアリスちゃん。知ってる? 間宮くんが______よ。」



 「エ?ま、まみやクンが!?」


 へへっ


_____________________________________


ちなみに頼本は既にめちゃくちゃギターがうまいです。

あと、田中くんは生まれてから一度もドラムを叩いたことがありません。


加えて間宮くんが説得に応じるかはまだわかりません。

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