第122話【おっさんと絶望】
「え、そ、それはつまり何がいいたい。おいっ」
文化祭でメイド喫茶、それは確かに予想外だった。
予想外だったけど、今、俺は電話でさらに予想外の発言を耳にしている....。
は?
「んー。別にー。まぁそういうことだよ。間宮っち。ははっ、ふはは」
「そ、そういうこと......。」
「うん。とりあえず渋谷副会長のご令嬢、アリサちゃんはうちの所属になったから。宜しくな。ま・み・や・っち。ふははははははは」
は?いや、本当に、は?何を何を言っている。
は?
「し、所属........?」
「あぁ所属だ。あんなに美人なんだから別におかしくはないだろ? まぁアリサちゃんはアイドルではなく、本格的な女優としての所属だけどな。てか、もう本格的な指導にも入っているよ。でもやっぱり一流の子は一流。筋がいいよ。本当に。」
「は? 女優? 指導? 筋?」
「なんだー、間宮っちそんなに興奮してー。もう待ちきれないってかー?このー」
い、いやマジで何を言っているんだおっさん。
頭が、頭がおいつかない。何を.....。一体何を......。
し、渋谷さんが女優?
「ただ問題があってなー。それに伴ってキャスティングの異動とかも多少はあってな。沙織がヒロインなのはもちろん変わらないんだけど、ちょっとらしくもなくあいつ完全に拗ねちゃってなー。俺のことまで聞かなくなっちまってるんだよ。なぁどうしよう。どうしたらいい間宮っち」
「い、いや知らないですよ。俺には関係ないですし.....。」
い、いきなり何だよ。何でそんなことを俺に。
「いやー、それが関係大ありなんだよ。だってキャスティングの異動は間宮っちのことなんだから。」
「は?......。ん? は?」
「ちょっと色々と渋谷副会長の意向でな。間宮っちは蓮役ではなくヒロインである沙織の他校のライバル役、アリサちゃんの専属従者候補になっているんだ。まぁそっちも原作ではかなりの人気役だから。そこは安心してよ。な。」
「い、いや、な。じゃねぇよ。ねぇですよ。は? いやいやいや何を言っているんだ。おっさん。それにこの前にその話は」
「んー。これは渋谷副会長の意向だって言わなかったけ。俺。」
「は......?」
って.......。
「確かに前に間宮っちは言ったよね。全て渋谷副会長に任せるって。録音もしているよ。それに........実は間宮っちのお母さまからも了承はすでにもらってまーす。契約書上でもね。はははははははははは。ふはははははは」
「は?.......い、今何て?」
き、聞き間違いでなければ何か、何かおそらしい言葉がスマホから.....。
「だから、間宮っちのお母さまからもぜひうちの息子をお願いしますって言われているってこと。手土産のうちの売れっ子俳優たちのサインもそれはもう、快くもらってくださったよ。つまりそういうこと。アンダスタンッ? 間宮っち、アンダスタンドッ?」
「.........。」
い、いや.....う、嘘だろ。な、何をしている....。
母さん、おい。ババア.....。
「い、いや、でもそれでもやっぱりそんなの「じゃ、そういうことでー。また詳しいことはおいおいご自宅にむかいまーす。see youー。間宮っちー。ふぉーーー」
「お、おい!待っ.......って、き、切れた。」
いや、そんな馬鹿な話、馬鹿な話あってたまるか。
「.........。」
って、くっ。そしてこちらからの電話はつながらない.....だと?
くっ、く......クソ、クソ、クソッ
あ、あの糞じじいぃぃ.....。
で、でも、いや、え? マジ? いや本当にマジ?
お、俺、結局出るの?ドラマ......。は?
いやいやいやいやいや、え?
「..........。」
いやいやいやいやいやいや......
「は.......?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます