第109話【不意打ち】
昨日は本当によくわからなかったな.......。
俺はあの後に頭がまたくらくらとして、気が付いたら窓から見える景色はもう真っ暗だった。
そして部屋にはもうミキはいなかった。
アレは本当に何だったんだ........。
もしかして夢?
いや、そんなわけないよな。
とりあえず途中からの記憶がほとんどない.......。
「.......。」
まぁ今日は学校が終わりしだいすぐに帰ろう。うん。本当にすぐに。
俺の体調もまだ本調子ではないし、何か今日の田中君はやらなければいけないことがあるらしい。
やはりこんなことを言うのもアレかもしれないけど、すごくラッキーだ。
それにしても、田中君にしてはあまりにも真剣な表情でずっとスマホをポチポチとしているからつい、さっき後ろから画面を覗き込んだら何かものすごい量の文章をよくわからないサイトに打っていた。何か~になろうみたいな文字が見えた気がする。
何かになろうとしているのか? ん?
確か、今日の田中君は授業中も机の下でずっとスマホをいじくってたな。ほんとに一日中。
何かひたすらブツブツと独り言も激しかったけど.......。
頻繁に聞こえてきた『印税』って何だ?
一体何をしている田中くん。
とりあえず、何か目が血走っていてこわいぞ......
まぁ、おかげで早く帰れるから良いんだけど。
頼本も心なしか.....というか見るからに今日は表情が明るい。
本当に良かったな.......頼本。
「起立、礼!」
って、そうこう考えているうちに今日の最後の授業も終わったみたいだ。
よし。今日は本当に久しぶりに終業ダッシュをかまそう。
おい、先生早く来い。そして早く終わりのHRを始めてくれ。
「ま、間宮くん。」
ん?
「あぁ、山本か。何だ?」
「ちょっとこの後、時間ある?」
「........。」
この後.......。
正直、俺の頭の中はもう帰ることでいっぱい。
だって本当に今日は久しぶりに彼から解放される日だから......。
「ご、ごめん。忙しいよね。やっぱり大丈夫。ごめん。」
でも、もしかして文化祭の事とかか?
であれば、話しは変わってくる。
さすがに自分から立候補した以上はそこはな。
他人事のような顔はできない。
「いや、大丈夫だ。」
実際、本当に今日は何もないしな。
ネット動画とかをひらすら見ようと思っていただけ。
「ほんと?あ、ありがと。じゃあHRの後でちょっと。」
「あぁ、Okだ。」
一緒に立候補してくれた山本には本当に感謝している。
_______そして放課後。
気が付けばもう教室には俺と山本の二人のみ。
田中君なんかは、もう本当に意味がわからないが
帰りのHRが始まる時点では既に教室にはいなかった。
そして俺と頼本以外はその光景に誰も気が付かずにそのまま解散。
ほんとすごいな.......田中君。
「ま、間宮くん。ごめんね。ほんとにちょっとだけ聞きたいことがあるだけなの。すぐに終わるから。」
「あぁ、別にすぐじゃなくても大丈夫だぞ。」
で、何だろうか?山本。
文化祭の件だったらあの件か?
「で、何だ?」
「あ、あのね......」
何だろうか彼女にしてはすごく歯切れが悪い。
「ん?どうした?」
「あの.....今日はしてないみたいだけど、間宮くんが放課後にいつも田中君と頼本君としているアレって何?」
「..........。」
へ?
「「..........。」」
へ?
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