第80話【夏休み ドクマナルドバイト②】
「は、はじめましテ。アリス・クリスティーナでス。よ、よろしくおねがイしまス!」
俺の瞳には今、そう言って皆に元気よくあいさつをするアリスの姿が映り込んでいる。
き、緊張して肩が上がっちゃってるし.........大丈夫かな?
ふっ、それに制服がちょっとでかいな。アリスのサイズ的にしかたないんだろうけどちょっとだぼっとしてる。
ふっ、なんか面白いな......。
「「「おー宜しくー!」」」
「可愛いー。お人形さんみたいねー。」
「あ、あ、アリスたん。可愛すぎる。」
でも、ほんとに来ちゃったんだな.......アリス。
まぁ別に駄目ではないけど......。
「おーし。とりあえず教育係には間宮がつくことになってるから。彼が手を離せないときは皆も頼むなー。」
「「はい。もちろんです。」」
「あー、間宮くんずるいなー。おばさんが教育係したいわー」
「あ、アリスたん.....。」
「おい、間宮。お前ケガしろ。ケガしてまた一週間ほど休め。いや帰ってこなくてもいいぞ。」
「.......。」
まぁ、一部変になっている奴らはいるけど.........皆アリスに対してかなり友好的な感じだし、大丈夫そうだな。
「あ、アリスちゃん。その首のネックレスはバイト中は外そうか。」
「こ、これデスか? しゅにん。」
「うん。ルールだからお願いね。」
「は、ハイ。」
「でもそのネックレスすごく可愛いわね。どこで買ったの?」
「.......。」
うん。それ、俺が修学旅行の時にあげた奴だな......。
って、アリスママが言っていた様にほんとにずっとつけてるのかよ........それ。
「ふふ、これはもらいまシタ。」
「おー、誰にー?あ、もしかして彼氏だったりしてー。」
「ち、ち、ち、ち、違いマス。ま、まみやくんデス。」
そう言って気がついたら俺がいる方向に向かって指を指すアリス。
「........。」
「ふっ、やるじゃないの間宮くーん。」
「.......。」
って、な、何がだよババ......じゃなくて主任。
何をニヤニヤと......。
それに、な、なんでそんなに顔を赤くしているアリス.......。
.......き、きっと緊張だな。うん。........そうに違いない。
それ以外はない。お、俺だからな.......。うん。
「ケ、ケント........。」
って、うお。
いつの間にか俺の隣にはリンリン。
って......な、何でそんな怖い顔をしている。
「あ、あのネックレスはなんネ.......ケント。」
え?
「い、いや普通に......修学旅行で作ったらアリスが欲しいって.......。」
って、ほ、ほんと何でそんなに機嫌が......。
「も、もしかしてケント、あ、あ、あのアリスちゃんと、と、特別な関係カ?」
「え.....い、いやそういうのではないけど......。」
本当に言葉通り欲しいって言われたから.....。
ほんとに......
って、あ
そんなことを話していたら俺の袖がふいに優しく引っ張られる。
「ふふ、ケントくん。では今日からおねがいしまス!」
「あ、あぁ宜しく。」
まぁ、なんだかんだでアリスは真面目だし大丈夫だろう。
「ふふ、リンリンさんもよろしくおねがいしマス!」
そしていつの間にか彼女にも天使のような笑顔を浴びせつけているアリス。
「......く、悔しいけどほんと可愛いわね。よ、よろしくネ。アリスちゃん。」
「ハイ!おねがいしまス!」
「はーい。じゃあ自己紹介も終わったし。これから宜しくねー」
「「「「はい。」」」」」
まぁ、主任もいるし大丈夫だろう。
頑張ろう。
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