第17話【悪魔の親友】


 私の親友、山本サヤの様子が最近おかしい......

 呼吸をするように数々の男をたぶらかして手玉にとっていく魔性の女。

 それが彼女、山本サヤのはずだった......


 サヤに話しかけられた男子たちは皆、すぐに鼻の下を伸ばして彼女の虜になる。


 彼女の猫なで声やボディタッチは、数多の男子たちをその気にさせてきた最強の武器。


 そんなサヤと小学校の頃からの同級生な私は、今まで何度も彼女が男たちから告白されている場面に遭遇してきた。

 他校の生徒から告白されることも彼女は少なくなかった。

 芸能事務所からスカウトされている場面にも多く遭遇している。


 昔のサヤはこんなにあざとい娘ではなかった。

 でも彼女がいる男の子からも告白されたりして、よく女の子と揉め事になっていたりもしたっけ。サヤは悪くなかったのに.....

 色んな女の子にも妬まれていた......。

 陰湿ないやがらせなんかも......。


 そして、そんな環境にいた彼女はしだいに変わってしまった。

 いつからだっただろうか、サヤが魔性の女になったのは..

 いつからだっただろうか、彼女が男の子の前で本物の笑みを浮かべなくなったのは.......

 あざとい武器を使い、男の子で遊ぶような女になってしまったのは.......。


 本当のサヤはこんな子じゃないことを私は知っている。

 普通にサヤは心根は優しい娘。

 だから私もサヤのことは友達として普通に大好きだ。


 しかし、一方ではそういったこともあって、気がつけば彼女の周りには敵が増えてしまっていた......。

 女の子の敵が......。


  でも、そんなサヤの様子が最近やっぱりおかしい。

 最近の彼女は全然あざとくない。


 親友の私が言うのもなんだけど、数々の男たちを自分にふりむかせることを生き甲斐にしていたような彼女から.....あざとさが消えた。


  クラスで人気が高い榊や守谷たちから話しかけてられても何かすごく普通の返し。

 むしろそっけないぐらい.......。


 あんなに、つい最近までぷりぷりと上目遣いで可愛い声を向けていた彼らにだ。

 彼女は、あんなに好きだった男漁りをするような場にも一切いかなくなった。


 ほんとうにどうしたの?


 でも最近、私はサヤのことについて、また新たな発見をして気づいたことがある。

 最近の彼女は、とある男子にことあるごとに視線を向けている。


  授業中なども、ふと彼女をみるとその男に視線を向けていることがかなり多い。


  しかし、その男とはこのクラスのぼっちくんである間宮だ。

 人気者の彼女とは対極にいる存在の間宮。

 そんな彼に、何度も視線を向けるサヤ。

 以前では考えられない光景だ。


 しかも何故か、サヤは頬を赤くして間宮をいつも遠くから眺めている。

 いつぶりだろうか、彼女のあんな女の表情を見るのは。

 でも、相手は間宮、それはないはず、ないはずだ。


 でも、何よ......。

 その間宮と喋っているときのしおらしい表情。


 モジモジ......?

 あんたがモジモジ?

 そんなに恥ずかしそうに.....?

顔を赤く染めて......?

 百戦錬磨の男タラシと言われたあんたが何よその表情......。


 それに何よその綺麗な笑顔。

 その自然に滲み出るあんたの笑顔......。


 いつぶりだろう、あの娘があんな綺麗で眩しい笑顔を男の子に向けるのを見るのは。


 今のサヤ。

 親友の私から見ても

 

 可愛すぎる。


 もしかしてほんとに間宮のこと?

 一体.......何があったの?


 あ、また間宮のこと見てる。

 完全に恋する女の目じゃん......。


 ま、まじ?


 とにかく彼女はやっぱり変わったみたいだ。

 親友の私からみても今の山本サヤは

 

 めちゃめちゃ可愛い。

 

 以前よりも圧倒的に


 可愛い。

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